進退をかけて臨んだ横綱白鵬(36=宮城野)が“定番”の8日目ストレート勝ち越しを決めた。初顔で平幕の琴恵光(29=佐渡ケ嶽)を、右から張って難なく左四つに組み止めると、相手の右巻き替えに乗じて一気に体を寄せて寄り切った。勢い余って両者とも土俵下に落ち、東土俵下で審判を務める枝川親方(元前頭蒼樹山)を“浴びせ倒す”ほど白鵬の気迫がこもった一番だった。

進退に注目されながら、折り返しは無傷のストレート給金。これには協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)も「立派です。膝に不安がある中でね。勝ち方を知っている」とほめた。不安があったとすれば「初日と2日目ぐらいでしょうね。(それを過ぎ)自信満々です。よく相手を見ているし」と分析。連日の初顔との対戦だったが、取組前に同理事長は「白鵬の場合、相手を見ながら取れる」と予想。その読み通り、対応力の高さを見せつけた。

これで優勝争いは、大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)と全勝でトップ並走。後続は2差で平幕力士3人が追うが「この2人を(対戦相手が)倒すのは、なかなか想像つかない」と圧倒的な強さを認める一方で、同理事長は場所を盛り上げるためにも「もっと(対戦相手は)元気を出してほしいですね」と奮起を求めた。