西前頭2枚目逸ノ城(29=湊)が、初優勝を飾った。本割で西前頭3枚目宇良(30=木瀬)を下し3敗を守った。星が並んでいた横綱照ノ富士が大関貴景勝に敗れたため4敗に後退し、逸ノ城の優勝が決まった。

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過去に体重200キロ台で幕内優勝したのはわずか4人(大乃国、小錦、曙、武蔵丸)。今場所優勝により、211キロの逸ノ城が新たに加わった。20歳で入門した時には既に183キロあり、28キロ増えた今もずっとベスト体重を探してきた。29歳となった今は、自己管理ができるように成長を遂げている。

関取になって間もない頃には湊親方やおかみを務める三浦真さんの目を盗み、大好きなアイスクリームを部屋で爆食いしていたこともあった。バレないようにとゴミを布団の中に隠していると、たまたま部屋を掃除したおかみさんに見つかって大目玉を食らったこともあった。

ヘルニアを発症して以降は重い体を支えきれなくなり、体をかばうような相撲が目立った。危機感が募り、ダイエットを敢行。最高227キロまであったが、稽古に打ち込み今場所は16キロ減。入門以来そばで見てきたおかみさんは「20歳のころは食事のことなど何かと口を挟んできましたが、けがをしてから変わりました。プロですから、ここ数年は何も言わなくなりました」と自己管理ができるように成長したと実感していた。【平山連】

 

○…外国出身力士の幕内優勝は、今場所を制した逸ノ城で15人目、125度目となった。50年前に高見山が優勝して以降、同じ米国出身の小錦、曙、武蔵丸が続いた。琴欧洲、把瑠都、栃ノ心といった欧州勢が台頭することもあったが、現在は横綱照ノ富士らモンゴル勢が角界をけん引。モンゴル出身力士の優勝者はこれで8人目、通算95度目になる。