関脇豊昇龍(23=立浪)が、10年ぶりの珍手「かわず掛け」で4勝目をあげた。上手投げを残して切り返しの翠富士に対し、右足を左足に絡めて後方に倒した。幕内では12年春場所の隆の山以来となる決まり手で1敗を守った。1敗は豊昇龍、御嶽海のほか平幕高安ら計8人となった。2大関は貴景勝が逸ノ城を押し出して連敗を2で止め、3勝目を挙げた。かど番の正代は明生に寄り切られて3敗目と黒星が先行した。

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体が自然と動いた。豊昇龍が翠富士を裏返した。強引な上手投げ技を切り返されそうになった瞬間だ。右足を左足に絡めた。逆転の「かわず掛け」。叔父の元横綱朝青龍も十両以上で決めたことのない大技だった。「狙っていたわけじゃないです。流れでいきました」と本能に従った。耳慣れない決まり手がアナウンスされると、館内からどよめきが起きた。

かわず掛けは、「曽我兄弟」のあだ討ちの物語で、河津三郎という武士が相手にこの手をかけたことに由来。プロレスラーの故ジャイアント馬場さんの得意技でもあった。幕内では12年春場所で隆の山が勢に決めて以来で、令和初となった。豊昇龍は「へー、良かったですね。珍しい技で勝ったという感覚はなかったけど、うれしいですね」と険しい表情が緩んだ。

1月の初場所から5場所連続で勝ち越し。今場所も勢いを維持し、初日から3連勝。4日目に高安に敗れたが1敗を守った。この日の白星で年間勝利数でも48勝目となり、琴ノ若と並び2位となった。序盤戦を終えて混戦模様の場所を盛り上げる1人となっている。「この気持ちで最後までいきたい」と目の前の一番に集中して、白星を積み重ねる。【平山連】

◆かわず掛け 自分の足を相手の足に絡ませるように掛けて、相手の首などを抱え込んで体を反って後ろに倒す。幕内では10年ぶりで、令和初となった。

【写真特集】10年ぶりの河津掛けを連続写真で! 豊昇龍が珍手で4勝目/九州場所5日目