2021年秋場所後に引退した元横綱白鵬の宮城野親方(37)が断髪式を終えた後に報道陣の取材に応じて心境を述べた。同親方の一問一答は以下の通り。

 

-今の気持ちは

宮城野親方 終わったなという気持ちです。でも、どこかにもう体の一部がなくなったという寂しさもあります。

-断髪式の時の気持ちは

はさみを入れた瞬間は「あー、なくなるんだな」「始まったな」という気持ちと、先輩、ライバル、後輩、後援会とやっぱり深い思い出がありますから。それがやっぱりフラッシュバックして、気持ちの整理がつかなかった。

-家族は改めてどんな存在ですか

綱とりは2度ほど失敗しましたし、またけがにも泣きました。そのたびに病院に連れて行ってもらいました。三度目の正直の時に長女が生まれ、綱とりに成功しました。そこから14年間、本当に裏で支えてくれた。日本のことわざでも「一つ歳上の女房は金のわらじを履いてでも探せ」とありますが、素晴らしい女性と会えた。強い男の裏に賢い女性がいる。感謝の気持ちでいっぱいです。

-土俵との別れはどんな思いだった

皆さんに勇気を与えたい気持ちで土俵に上がっていましたけど、逆に今日は勇気をいただきました。これからは別の土俵の戦いが始まります。親方として、横綱を(育てることを)めざして頑張らんといけないという気持ちになりました。

-全国の相撲ファンへ

まだどこかで会った時に声かけてもらえば、写真撮ります。今後も審判部や巡業部とかで、親方として相撲の仕事に就くと思うので、皆さんと笑顔で会えればと思います。

-髪形はイメージ通りか

大勢の方々にはさみを入れてもらいましたから、そのぶんちょっと髪の毛が思ったより少なくなってしまった。職人技でここまで仕上げてくれたので、100点満点です。

-断髪式で日馬富士に何か声をかけてもらって、涙ぐんでいた

深い言葉をかけてもらった。言っていいのかな。「同じ土俵で戦えて誇りに思います」と。後は本人に聞いて下さい。

-三女の手紙を聞いてどうでしたか

感動しました。

-最後の土俵入りを終えた

初場所で優勝した人を必ず露払いか太刀持ちに付けたいと思っていましたので、それが貴景勝だった。豊昇龍は私も(生まれは)モンゴルですし、モンゴルの若手で一番脂が乗っているし、期待している。おじさん(元横綱朝青龍の、ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏)と戦っている縁もありましたので選びました。久しぶりすぎて緊張しました。

-長男と相撲を取った

長男にはこの思い出を胸に白鵬家を守り続け、一生懸命やってもらえればと思っています。

-断髪式の時に長男は父の写真を持っていた

こんなに丈夫な体を作ってくれたと、両親には感謝の気持ちでいっぱいです。(亡くなった父から)見守ってもらって、必ずどこかで見ていると思う。おやじに対する恩返しができた。

-お母様の誕生日に開催できた

本当にめでたい引退相撲、宮城野襲名になりました

-土俵に額を付けるシーンがあった

横綱、大関を1日早く作って、再びファンの前に帰ってくるという約束と、感謝の気持ちを込めました

-師匠の止めばさみの時の率直な心境は

全てが終わったなと。優しすぎるぐらいの師匠の下で相撲ができたので、感謝の気持ちとともに、いろんな気持ちがこみ上げてきました。

-今後どう歩んでいきたい

300年の伝統のある宮城野を襲名し、その歴史ある名に恥じぬよう頑張っていきたい。もう関取は作ったので、横綱、大関を作って相撲界発展のために恩返しをしたい。そして天皇賜杯をもらえる力士を育てていきたい。そういう気持ちでいっぱいです。