大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)の新番付が1日、発表され、新関脇に昇進した若元春(29=荒汐)が、東京・両国国技館で会見した。

弟で昨年春場所に昇進以降、先場所まで7場所連続で関脇を守っていた小結若隆景に続き、史上4組目の兄弟関脇が誕生した。これまで兄弟で関脇以上となったのは元横綱の初代若乃花と大関貴ノ花、ともに元関脇の逆鉾と寺尾、ともに元横綱の3代目若乃花と貴乃花(新関脇当時は貴花田)。若元春は「少ない枠の中に2人で入ることができたのは光栄。歴代の方と肩を並べても、遜色なく思われるように頑張りたい」と、表情を引き締めた。

今年の初場所で新三役に昇進し、小結で2場所連続で勝ち越してきた。特に先場所は11勝を挙げ、大関とりの起点をつくった。会見では開口一番「まだ、あまり実感がわいていないです。小結の実感も、最近できてきたばかりなので」と、とまどいの表情を見せた。さらに、報道陣から「小結と関脇の違いは?」と問われると「これはクイズですか?」と話し、持ち前の明るさで会見場を笑わせた。

11年11月の九州場所で初土俵を踏んでから、新入幕まで11年余りを要した。そこから1年余りで関脇まで昇進した理由について「結婚して、子どもができたことで、内面的に成長できたと思う」と、ちょうど1年前に生まれた長女の存在の大きさを語った。

また、新関脇場所で初優勝するなど、常に先を歩んできた弟の若隆景は、先場所で大けがを負い、今場所は全休の見込み。会見に同席した師匠の荒汐親方(元前頭蒼国来)によると、若隆景は「手術が終わってリハビリをしている。完璧に(状態が)戻ってから(本場所に)戻したい」という状態だ。7月の名古屋場所も休場する可能性もあり、その場合は、大きく番付を落とすことになる。それでも若元春は「弟はストイックで努力型の性格。絶対に戻ってくる。背中を見ていただけではなく、必死で追いかけてきたので」と信じて疑わず、再び兄弟で幕内後半戦を盛り上げる決意だ。

「武器は左四つ。(今は自分を)そんなに弱いとは思わなくなった」と、自信がついてきた。一方で「(大関への昇進は)自分自身が一番意識していない。目標は三賞を取ること」とも語る。新関脇場所も、気負わずマイペースで臨むつもりだ。