大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)で、幕下10枚目格付け出しでデビューする大の里(22=二所ノ関)が3日、茨城県内の部屋で報道陣に稽古を公開した。

体に張りがあるため、この日は相撲を取らず、四股やすり足、てっぽうなどの基礎運動で汗を流した。192センチ、177キロの恵まれた体格から、今春卒業した日体大では2年連続アマチュア横綱に輝くなど、将来を期待される逸材。稽古後は、集まった30人近い報道陣の取材に応じ「注目されているのだと実感しました。とにかく4勝以上。まずは勝ち越したい」と、さわやかに話した。

稽古中は、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から、まわしの切り方などを教わる場面もあった。「今までの概念が覆された」と、刺激を受ける毎日を送り、成長を続けている。「自分は本当に相撲が好き。番付発表が終わって、木札に自分の名前があるのを見て『本当にお相撲さんになったんだな』と実感します」と、初々しく話した。

初場所で、幕下15枚目格付け出しでデビューした落合(宮城野)が、昭和以降最速の所要1場所で関取に昇進した。大の里は、その落合よりも5枚上位の幕下10枚目格付け出しでデビューするだけに、夏場所で7戦全勝なら新十両昇進が有力だ。すでに大関経験者の前頭高安と、申し合いで互角以上に渡り合っているだけに、周囲の期待は高まるばかり。それでも当の大の里は「スピード出世は気にしていない。親方も言われているように、最終的にどこにいるか。まずは白まわしを巻いて、締め込みを巻いて、関取に上がりたいなというのが目標です」と、じっくりと力をつけていきたい考えだ。

まだ初土俵も踏んでいないが、報道陣からの取材依頼は相次いでいた。ただ、師匠の意向で、場所前の取材は原則的に、この日に一本化された。余計な重圧などを感じさせないように配慮した親心によるものだが、大の里は「プレッシャーはないですね。楽しむだけ」と堂々と話すなど、大物ぶりをのぞかせた。二所ノ関親方も「急がず、しっかりと土台をつくって、長く関取でいればチャンスがあると思う」と、大関、横綱へと成長できる逸材と感じている。さらに「しこ名のごとく、大きく育ってほしい」とエールを送り、期待していた。