大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)を4日後に控えた10日、次期三役候補と期待される西前頭3枚目の錦富士(26=伊勢ケ浜)が、東京・江東区の富岡八幡宮で挙式した。

お相手は、石川県小松市出身の藤添静香さん(24)で、10月に第1子が誕生する予定という。11日に墨田区役所に婚姻届を出す。同八幡宮では、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)や兄弟子の横綱照ノ富士も挙式している。

一昨年の10月に、照ノ富士のパーティーで同席したことをきっかけに、2カ月後のクリスマスから交際が始まったという。周囲からは女優の土屋太鳳に似ている、と言われるという静香さんに「見た目もそうだけど中身もすてきな方だなと、一目ぼれでした。この人、絶対にいいなと」と錦富士が話せば、新婦の静香さんも「何事にも不器用なぐらい真っすぐなところにひかれました。これ以上の方は出て来ないと思いました」と話すように、相撲の知識は全くなくても相思相愛で月日が流れた。

昨年末にプロポーズし、子どもを授かったこともあり3月の春場所前に錦富士が伊勢ケ浜親方に相談し、この日の挙式が決まった。「1つの区切りとして、しっかり式を挙げて、これから家庭を持っていくわけですから責任感を持って、それを相撲につなげられるように頑張ってもらいたい」と同親方もエールを送った。

バスケットボールの競技経験がある静香さんは、約2年前に上京し、会社員として勤めていた。年が明けて退社し、1カ月ほど前から同居してからは、料理など錦富士を健康面でサポート。昼、夜の料理を作って関取を支えているという。今後はアスリートフードマイスターの資格取得も目指すという。「負けて落ち込んでいるときも、一番そばにいて支える存在でいたいです」とメンタル面でも支えていくつもりだ。

場所直前という、角界では珍しい時期での挙式となった錦富士は「プレッシャーはかかるけど、縁起のいいこと。勢いづけられたら、と思います」。自己最高位で迎える夏場所は、全6場所の中で唯一、負け越しがなく、相撲人生でも縁起がいい場所だ。新入幕から幕内在位6場所目で、過去5場所は2ケタ勝利3場所を含む43勝32敗と、着実に地力をつけてきた。

「式を挙げたばかりでプレッシャーはあるけど、しっかり一番一番、自分の相撲を取って、全力を出し切る。15日間、続けられたら結果はついてくると思うし、この場所で(三役に)上がると準備してきました」と、新三役に向けて公私ともに充実の態勢を整えて、勝負の場所に臨む。