3場所全休明けの横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、ストレート給金を達成した。休場中に力をつけてきた琴勝峰を押し出して、幕内では21年九州場所以来となる6度目の全勝で折り返した。平幕の明生と朝乃山がともに敗れて1敗に後退し、早くも単独トップに立った。かど番の大関貴景勝は正代を下し2敗守り、大関とりの霧馬山も宇良を退け2敗を死守した。

照ノ富士がストレートで勝ち越しを決めた。初の横綱戦に燃える琴勝峰を圧倒。当たりを受け止めると右を浅く差し、左で抱えながら前進。左に逃れる相手に対し、しっかり足を運んで押し出した。「落ち着いて、圧力をかけられた」と振り返り、21年九州場所以来の全勝ターンには「そうですか」と涼しい顔だった。

横綱が3場所以上続けて全休したのは昭和以降で過去に14例あり、復帰場所の全勝ターンは2例だけ。そのうちの一人が、腰痛による3場所連続全休から89年初場所で復活優勝を果たした八角理事長(元横綱北勝海)。好内容が続く。自身の経験から「横綱でも勝ち越しはほっとする。大丈夫かなという気持ちから、俺は強いんだという気持ちになっていった」と精神面の上積みを強調した。

両膝の手術の影響などで4場所休場を余儀なくされたが、休場明けの場所で単独トップに立つ。「盛り上がりの中心にいないといけない。優勝争いにいないといけない」。その言葉には横綱として強い責任感がにじむ。中日を終えたが「まだ半分」。気持ちを緩めることなく残り7番に全力を注ぐ。