コロナ禍の20年7月に結婚した大相撲の大関経験者で幕内力士の高安(33=田子ノ浦)が17日、都内のホテルで、妻で女性演歌歌手の杜このみ(33)と披露宴を開いた。

式では衆議院議員の平沢勝栄氏、杜の師匠にあたる歌手の細川たかし、角界からは高安の兄弟子だった第72代横綱稀勢の里の二所ノ関親方ら、700人を超す出席者が2人の門出を祝った。

2人は、16年2月のNHK福祉大相撲で初めて出会い、翌17年5月に田子ノ浦部屋の夏場所千秋楽パーティーに、杜が細川たかしらとともに招待されて再会した。同学年ということもあり意気投合し、間もなく交際がスタート。19年夏に高安がプロポーズし、約1年後に婚姻届を提出した。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、結婚から約3年もお披露目を控えていた。コロナが5類に移行されたこともあり、今月に入り2日には高安の出身地(茨城県)である筑波山神社で、10日には杜の出身地である北海道神宮(札幌市)で地元関係者を中心に神前式を開いた。

3度目の結婚式となったこの日、あらためて高安は「婚約して今日に至るまで3年がたち不安な時期もありましたが、こうしてやっと盛大にご披露できホッとしているのと、うれしい気持ちでいます」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

この3年で21年2月17日には第1子の長女が、22年8月19日には第2子の長男が誕生。2児の母となった杜も「娘と息子が生まれて、新婚の頃に思い描いていた披露宴とまた違う形になりますが、にぎやかで幸せな披露宴を迎えることができて、すごくうれしいなという幸せな気持ちでいっぱいです」と感慨深そうに話した。高安については「すごく真面目で真っすぐな性格で、そばで見ていて尊敬しているし、近くで応援させてもらえるのは幸せ。好きな人と一緒になれるというのが一番の幸せ」とし、子育てや本業で多忙を極めることにも「娘、息子の母親として、演歌歌手としても妻としても頑張りたいという気持ちです」と笑顔で語った。

この3年間のコロナ禍での「巣ごもり生活」の一端も明かした。「コロナ禍で何かマスターしたいね」という新婦の誘いもあり、ギターに挑戦。Youtubeを見ながら必死に“特訓”し「妻に教わりながらやったけど超初心者です」と高安。新婦の持ち歌などを高安が鼻歌で口ずさむと「夜遅くに歌うとヘビが出るからやめて」と奥さんにとがめられるとか。「しょっちゅうです。それぐらい歌にあふれている家です」(高安)と、ほのぼのとした明るい家庭がうかがえるエピソードをご披露した。

さて、高安にとって“本業”の大相撲。5月の夏場所は初日(14日)の朝稽古で右太もも裏を痛め休場。11日目から土俵復帰し、3勝を挙げ(3勝3敗9休み)たが、名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)では前頭10枚目前後からの出直しとなる。「やっぱり精進して家族を喜ばせたい。披露宴にも、これだけたくさんの方に来ていただいた。期待に応えるためにも力士として上を目指して頑張りたい」。名古屋場所に向けて「より一層気持ちを引き締めて、名古屋に向かいたい。結果を出したいです」と引き締めた。

昨年からこの1年半で、コロナ感染も含め3度の休場場所があるが、その翌場所は全て2ケタ勝利(12勝、11勝、10勝)を挙げている。精神的に英気を養った「元横綱候補」が、再び捲土(けんど)重来の土俵に立つ。