まだまだ老け込むつもりはない。大相撲の36歳の十両東龍(玉ノ井)が21日、都内の部屋で稽古した。申し合いでは192センチ、162キロの大きな体を生かして幕下力士らを相手に力強い相撲を見せ、11戦全勝と圧倒した。「6月はじめに比べれば、だいぶ感覚が良くなってきた」と手応えを口にし、3場所ぶりの勝ち越しを目指す名古屋場所(7月9日、ドルフィンズアリーナ)へ調整を重ねている。

幕内10場所目にして初の勝ち越し(9勝6敗)となった1月の初場所から一転し、直近2場所は連続負け越し。「膝や肩やいろんなところが痛くて」相撲を取る稽古がほとんどできなかった。東十両2枚目として臨んだ夏場所は2勝13敗。本場所で15日間相撲を取り続けることさえ苦しい状況でも、土俵に上がったら関係ない。痛みを押し殺して土俵に上がったからこそ、「よく2勝ができたな」と自分を励ます言葉が漏れた。

挽回を期す思いは強い。春、夏場所前と比べれば、今は体が動いている。36歳とベテランの域に達したが、多い日は20番ほど相撲を取る。若い時と比べて稽古量は相対的に減っても、それを補うだけの経験と勘で場所に合わせていく。最近では同じモンゴル出身の鶴竜、鏡桜、旭秀鵬など相次いで断髪式を終えた。同世代が次々と力士人生に別れを告げている中でも、あくまで自分は自分。「できる限りやりたいね」と引き際は決めず、納得いくまで相撲を取り続ける。【平山連】