大相撲名古屋場所(9日初日、ドルフィンズアリーナ)西前頭8枚目の錦富士(26=伊勢ケ浜)が、不退転の覚悟を見せた。5日、名古屋市内の部屋で稽古した。申し合いには加わらず若い衆の胸を借りて立ち合いの当たりの角度などを入念に確認した。実は先場所終盤に右足の靱帯(じんたい)を痛めており、今もなお万全の状態とは言えない。それでも「出るからには言い訳はできない」と場所に向けて調整を急いでいる。

錦富士は「まだ相撲を取れる状態ではない。強行出場みたいなところはある」。痛めたのは先場所終盤。一番でも多く白星を伸ばそうとしていた中で起きたアクシデントにもめげず、場所が終わると治療に専念。「手術すれば間に合わない」ことを考慮し、リハビリを重ねた。この日も痛めた右足にテーピングを施して稽古に臨み、「最後3日間ぐらいの段階で相撲を取ってどれくらいできるか」と今後を展望した。

周囲から女優の土屋太鳳に似ているといわれる藤添静香さんと5月に挙式を挙げ、10月には第1子が誕生する予定。先場所3勝12敗とふがいない成績に終わったからこそ、今場所にかける思いは強い。名古屋へたつ前に妻から「無理をしすぎず、ダメな時は休むのも勇気だよ」と心温まる言葉をもらって、さらに活気づく。「なんとしても場所に向けて良い状態でいきたい」。支えてくれる妻のためにも、暑い名古屋で巻き返す。【平山連】