関脇豊昇龍(24=立浪)が、劇的な逆転初優勝を飾った。本割で19歳の伯桜鵬(宮城野)との大一番を制し、北勝富士との優勝決定戦に臨んだ。勝負の一番も勝ち、2018年初場所の初土俵から5年での優勝が決まった。モンゴル出身力士の優勝は10人目。さらに、この白星で大関昇進目安の3場所33勝に乗せた。

勝負強さが際立った。12日目に北勝富士に敗れて優勝争いに1歩後退を強いられ中でも、13日目に新大関霧島、14日目に関脇若元春を撃破。北勝富士、伯桜鵬とともにトップに並んだ。「自分の相撲を取って終わらせたい」と臨んだ一番で19歳の新鋭を寄せ付けなかった。

闘志むき出しの姿は、偉大なるおじ元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏と重なる。入門以来憧れのおじの背中を追いかけた。場所中のおじのツイッターには「戦うなら殺すつもりで行け!」「ヘタクソ!!」「皆弱い! 客に失礼!!」など愛のムチともいえるゲキが飛ぶ中で、期待に応えたいと必死だった。その分、常に比較されることに悩んだ。おじとの関係性などを問うメディアに対して「なんでおじさんのことを聞くの?」と不快感を示すこともあった。

本音は違う。21歳9カ月で大関昇進を勝ち取ったおじは、今もまぶしく映る存在だ。場所前にモンゴルに4年半ぶりに帰国した際に一緒にモンゴル相撲で“特訓”し、「40歳を過ぎてもこんなに力があるのかと、びっくりした」。瞬く間に横綱に上り詰めたおじへの尊敬は止まず、「同じ所までいけなくても近づきたいですよ」と吐露した。

初優勝を勝ち取り、場所後の大関昇進の期待が高まる。おじから紹介された美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長から昇進に合わせて飛騨牛1頭を贈られ、節目を祝う準備も整った。モンゴル出身の大関誕生となれば、先場所後に昇進を果たした霧島に続き7人目となる。

◆豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう・ともかつ)本名スガラグチャー・ビャンバスレン。1999年5月22日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。千葉・日体大柏高から立浪部屋に入門し、18年初場所で初土俵。19年九州場所で新十両、20年秋場所で新入幕、22年春場所で新小結、同秋場所で新関脇。得意は右四つ、寄り、投げ。188センチ、142キロ。

【動画】豊昇龍が優勝決定戦制し逆転初優勝!悲願達成に思いこみ上げ、涙ぐむ仕草