新入幕と入幕2場所目の2人がいよいよ三役戦に臨み、どんな相撲を取るのかが楽しみでした。結果はともに白星。ただ個人的には残念な思いが残りました。勝負の世界で負けるのは仕方ない。問題は相撲を取らないで負けた内容です。

尊富士は直線的な相撲で勢いに乗っているから、もろ手では起こせない。では阿炎はどう攻略するのか？　いくつかある攻め方を考えていなかったのかな、と思うと残念です。若元春もそうです。大の里が右から当たるのは、これまでの相撲を見れば分かるのに胸が合うような立ち合いで、もろ手で立った大の里に案の定、押し込まれました。左を差せたのは土俵際で、さらに左からの外掛けは相手に出てくださいと言っているようなもの。重い体の大の里に寄り立てられたら、いくら背筋が強くても残れません。立ち合いを考えていたのかそうでないのか、その差が表れました。

役力士には、下から上がってくる力士の壁になる責任があると思っていましたが、今は三役と平幕の差がないのかな、と考えさせられました。現役力士のつらさは分かっているので、厳しいことは言いたくないのが本音ですが、奮起してもらいたいという思いからの苦言です。（日刊スポーツ評論家）