無敗の新入幕尊富士(24=伊勢ケ浜)と、1敗の幕内2場所目大の里(23=二所ノ関)が10日目、互いに勝てば初優勝に前進する直接対決に臨むことになった。この日は尊富士が小結阿炎を押し出し、大の里が関脇若元春を寄り切り、そろって三役から初白星を挙げた。尊富士は新入幕として110年ぶり、大の里はざんばら髪として史上初の優勝を目指す、新世代2人の大一番が注目される。

しこ名通りのスケールの大きさで勝ち切った。大の里は立ち合いで若元春をはじき飛ばすと、圧力をかけて前進。左を差される相手得意の形になり、1度は寄り返されたが構わず出続けた。粘る相撲巧者に体を預け、圧力だけで初めて三役から白星を挙げた。「土俵際で差され、慌てる形になったけど、役力士に勝って自信になった。先場所よりは成長したと思う。止まったらねじ伏せられるので、多少ガムシャラでも前に出た」と胸を張って話した。

新入幕だった先場所に続き、9日目で勝ち越しを決めた。西前頭15枚目だった先場所は、10日目から割を崩して関脇、大関、横綱との対戦が組まれて3連敗。トップタイから一気に、優勝争いの圏外に押し出された。今場所は番付通りに三役と対戦し、互いに力を出し切って壁を越えた。「番付が上がってやる人が強くなっても、早い段階で勝ち越せたのは大きい」。これまでの1勝よりも、大きな自信と経験を手にした。

若元春とは、実は新潟・海洋高時代に手合わせしていた。まだ若元春が若い衆だった当時の荒汐部屋に、同高が合宿で寝泊まり。一緒に稽古した思い出は強く残っていた。1度対戦した相手は細胞レベルで体が反応。「大事な一番」という尊富士とも学生時代に対戦経験あり。本能が白星を求めている。【高田文太】

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