ちょんまげの新入幕力士が三役の壁もあっさり突破した。尊富士は小結阿炎との初対戦で低い立ち合いから強烈な左右のおっつけを繰り出し、一気に押し出した。「前の取組(○宇良-朝乃山●)が何かすげえ歓声で。それにのみ込まれたら自分の相撲が取れないと引き締めて取り切れました」と力強く振り返った。

初日からの連勝を歴代2位に並ぶ9に伸ばした。大横綱大鵬が新入幕で記録した11連勝に迫る勢いだが、10日目に1差で追う、まだまげも結えない大の里が立ちはだかる。楽しみな対戦か、に「それは見ている方でしょ」。意識する1人かには「それはそうですね」とライバル心を隠さない。

大学時代の実績では軍配を譲るが、大相撲の土俵では負けない。前相撲から、いわば、たたき上げの意地もある。尊富士は場所前に受けた横綱照ノ富士からの言葉を胸に刻む。十両優勝した先場所後の稽古場。

「自分が身が入っていない時に『十両優勝したから何だ。もっと上の番付があるだろう』と怒られて。横綱に言われたことを思い出して土俵に上がってます」

大一番も変わらない。ともに未来の横綱候補。「令和のライバル物語」最初のページが開かれる。【実藤健一】

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