110年ぶりという歴史的な尊富士の新入幕優勝は目前、と思われた矢先にある意味、これも歴史的にとんでもないアクシデントが起こりました。

立ち合いで当たって少し下がった時に尊富士の膝が動いたように見えたのと、土俵際で寄られた時に膝が内側に入ったようにも見えました。ケガをした状況も部位も分かりませんが、相撲そのものを分析した場合、朝乃山を褒めるべき一番でした。立ち合いから圧力をかけ、右が入ったらやっぱり強い。右の下手が一度は離れましたが、怖がらずにかいなを返して相手を持ち上げるように出て行く。尊富士も右を差され下に入られたら、そう簡単には勝てません。ただ、立ち合いの直後にアクシデントが起き力が出せなかったのかもしれない。そう思うと複雑です。

尊富士に強く言いたいのは絶対に無理して出ない方がいいということ。貴乃花も稀勢の里も、ここを乗り越え優勝という結果を残しても、後々の現役生活に響きました。記録的な優勝も大切だけど、まだ若く現役生活も長いのだから、絶対に無理はしないでほしいと思います。たとえ、どんな結果になろうとも、ここまでの素晴らしい相撲内容は消えません。軽傷であることを願いながら千秋楽を迎えたいと思います。(日刊スポーツ評論家)

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