大相撲の元幕内北青鵬の暴力問題で、当面閉鎖が決まった旧宮城野部屋の力士が8日、転籍した都内の伊勢ケ浜部屋で「伊勢ケ浜部屋所属」として初めて稽古した。師匠を外れた宮城野親方(39=元横綱白鵬)は、自らの希望でまわしを締め、伊勢ケ浜部屋の部屋付き親方として初指導した。非公開だったが、春巡業から一時帰京している横綱照ノ富士らも参加。角界一の約40人の大所帯となった「新生伊勢ケ浜部屋」としての初稽古は、午前8時から午後12時30分過ぎまで約4時間30分、外にも体がぶつかり合う音が絶え間なく聞こえるほどの熱気で行われた。

今月から一時閉鎖となっていた旧宮城野部屋勢が前日7日に引っ越し、この日が事実上の新生伊勢ケ浜部屋の船出だった。全部屋を通じて約40人もの所属力士数はダントツの多さで、関取衆7人も最多。もともと伊勢ケ浜部屋所属で関取衆最年長の十両宝富士(37)は「めちゃくちゃ活気のある稽古だった。これを続ければ、みんな絶対に強くなる」と歓迎。同じく伊勢ケ浜部屋の前頭翠富士(27)も「いい稽古だった。強くなりますよ」と続いた。

一方、一連の問題についてコメントを控えている旧宮城野部屋の十両伯桜鵬は、両手で「×」印のジェスチャーをつくって、引き続きコメントを控える意志を示した。ただ、直後に両手を合わせて“すみません”と、ペコリと頭を下げる表情は明るく、稽古後の充実感を漂わせていた。

若い衆は2階の大部屋、1階の上がり座敷、地下1階のトレーニング室に分かれて寝る予定。いずれの力士も従来よりは手狭にはなるが、ちゃんこ番は従来の4班から6班に増えるなど、より土俵に集中できるメリットもある。部屋での食事を取り仕切る、最年長の序二段聡ノ富士(46)は「1食に炊く米は3升から6升に増えた」と、笑って変化を明かした。【高田文太】