「曙キラー」として知られた元関脇の貴闘力忠茂氏(56)が11日、曙さんの死を悼んだ。

現役時代、幕内で44度の対戦があり、貴闘力の15勝29敗(優勝決定戦含む)。金星9個のうち、7個は曙さんから挙げた。横綱経験者を除けば、曙さんから最も勝った力士だった。貴闘力さんは当時を「楽しみだったよね」と振り返り、「相手に力を出させない当たり方を考えた。相手の肘を伸ばさせない。伸びても上に逃がすとかね。立ち合いはやっぱり、一番気を使いましたよ」と明かした。結果的に、同部屋の横綱若乃花、貴乃花をアシストすることもあった。

互いに引退した後、プロレスで対戦する可能性があった。貴闘力さんは期間限定でプロレスに参戦。2015年3月20日のリアルジャパン後楽園ホール大会では、リングサイドで2人はにらみあった。

「最後にやろうと話をしていた。あそこでにらみ合って、俺が場外乱闘するパワーがないから、にらみ合って終わりだった。北の湖理事長(当時)には『引退相撲と同じ金額で国技館を借りてもいいですか』と聞いたら、『ちゃんと金はもらうぞ』って言われた(笑い)」

その後、曙さんが体調不良となったため、対戦は実現しなかった。貴闘力さんは「曙のことは好きだった。亡くなって残念、ご冥福をお祈りします」としのんだ。