大相撲の第64代横綱を務めた米国ハワイ出身の曙太郎さんが心不全で亡くなっていたことについて、元関脇琴錦の朝日山親方(55)が悲しみに暮れた。

訃報の知らせが届いた11日、日刊スポーツの取材に応じ「仲良くしていた人たちが亡くなるのは辛いですよ」と声を落とした。

曙さんとは現役時代に数多く対戦し、実に40戦以上を超える。スピーディーな“F1相撲”で2度の平幕優勝を飾った同親方にとって、1歳下の曙さんは自身の現役を語る上でなくてはならない存在だ。「初めて会ったのはたしか私が新十両の頃。(曙の師匠の)東関さんはよく佐渡ケ嶽部屋に出稽古に来ていたんです。彼が入門した直後から、よく一緒に稽古したよね」と懐かしむ。

強くなりたい一心で向かってくる。その根性にも驚かされた。額に血がにじむ激しい稽古にも一切ひるまない。曙さんが序ノ口、序二段、三段目と番付が上がるにつれて「突っ張りが強さを増してね。240キロ近くの体重から繰り出す伸びのある突っ張りは脅威だったよ」と舌を巻いた。

ともに幕内にいた91年初場所から翌92年春場所まで7連勝したこともあるが、曙さんが大関、横綱へと階段を上るにつれて大きく水を開けられた。そんな苦い記憶も、今では現役時代の語る上で欠かせないと感謝する。「若貴時代の立役者だよ。彼がいなかったら、ここまで大きな盛り上がりにはならなかったんじゃないかな」と、相撲界に大きな貢献を果たした巨星の死去を惜しんだ。【平山連】