大関経験者で西幕下14枚目の朝乃山(31=高砂)が、東幕下14枚目の千代虎を押し出して白星発進した。
1度、立ち合いで合わずに突っかけられる格好となったが、2度目は体当たりの立ち合いで。けんか四つの相手に、右を差せなかったが、じりじりと圧力をかけて前進。1度、左上手を取っても、すぐに切られたが、まわしにこだわらずに前に出て押し切った。「前に出て、ケガなく終えることができてよかった」と、大粒の汗をぬぐいながら、冷静に振り返った。
昨年5月の夏場所を右膝痛で全休し、続く7月の名古屋場所4日目に左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負った。合わせて5場所連続休場の長期離脱から3月に大阪市で行われた春場所で、三段目から再起して全勝優勝した。両国国技館で本場所に出場するのは、昨年1月28日の初場所千秋楽以来、実に469日ぶりだった。それだけに取組後は「国技館で相撲を取るのは久々だった。先場所、復帰した大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)とはまた、1段、2段違う。入って(会場入りして)行くのも久々で、その時から声を掛けていただいて力になった」と、感慨深い様子で話した。
今場所前は、当初は部屋で稽古を積む予定だったが、順調に稽古を積み、同部屋の前頭朝紅龍とともに鳴戸部屋に出稽古も行った。それだけに「やるべきことはやってきた」と、自信に満ちた表情で話した。
7戦全勝なら、来場所は十両に昇進できる幕下15枚目以内に入ってきたことで、一段と気合も入る状況だ。ただ、7戦全勝での関取復帰の意識については「ないと言ったらウソになるけど、できるだけ意識しないように。今場所で相撲が終わるわけではないので」と、星勘定にとらわれすぎて、中途半端の相撲を取らないことを肝に銘じている様子だ。「悔いのないように、思い切ってやるだけ」。久々の両国国技館での取組で高揚感を覚えつつ、ベテランと呼ばれる年齢を迎えた冷静さも失わずに残る6番に臨む決意だ。【高田文太】

