大関大の里(24=二所ノ関)の初の全勝優勝は、目前で“天敵”の横綱豊昇龍(26=立浪)に阻まれた。13日目に2場所連続4度目の優勝を決め、無傷の14連勝で臨んだ千秋楽、上手ひねりに転がされた。対戦成績は1つの不戦勝を除いて1勝6敗。新横綱として臨むことが確実な名古屋場所(7月13日初日、IGアリーナ)で雪辱を誓った。
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破竹の快進撃は、最後に落とし穴が待っていた。大の里が初の全勝を懸けて臨んだ豊昇龍戦。もろ手突きの立ち合いで、相手の上体をのけぞらせたが、組みつかれた。それでも前に出て右を差したが、左はおっつけられていなかった。土俵際で体勢を入れ替えられ、上手ひねりに転がされた。
豊昇龍には1つの不戦勝を除くと1勝6敗。「次の地位で優勝、全勝を目指せるように頑張りたい」。東西の横綱に並び立つ来場所は“打倒豊昇龍”という、明確な目標、宿題ができた。
勝っていれば、21年秋場所の横綱照ノ富士以来、4年ぶりの全勝優勝だった。日本出身力士の全勝優勝となれば、16年秋場所の大関豪栄道以来、9年ぶり。すでに13日目に、昭和以降最速で、初の負け越しなしでの横綱昇進を確実にしていた。さらなる記録ずくめの優勝を期待される中で「全勝優勝したかった。最後、勝ちきりたかった。悔しいです」と、本音が漏れた。
ただ、特別な体験も多かった。土俵下の西の控えでは、師匠の隣に座り、すでに優勝を決めていても、一段と集中力が増した。前日には、この日の優勝パレードの旗手を、小結高安が務めることを師匠に知らされた。先場所は、優勝決定戦を行った強敵だが、二所ノ関部屋に入門する際、出稽古に来ていた高安に「この部屋なら間違いない」と、勧めてくれた人物でもあった。大の里は「親方同士で話し合って決めたようで。本当に感謝しかない」と、2人の恩人に頭を下げた。
臨時理事会が開かれることが決まった28日、正式に横綱に昇進する。「支えてもらえたおかげで、こういう結果になった。自分1人じゃない」と、部屋の若い衆も含めて感謝。土俵上の技と体だけではなく、心も成長した横綱として来場所、全勝優勝という忘れ物を取りに行く。【高田文太】

