静岡県出身として96年ぶりに新三役に昇進した小結熱海富士(23=伊勢ケ浜)が、2場所連続で横綱大の里を撃破した。体当たりの立ち合いから右をねじ込むと、つかんだ左上手を最後まで離さず、殊勲の星を呼び込んだ。大の里に下手を引かれ、グイグイと圧力をかけられたが、熱海富士は幕内最重量197キロの体を生かして対抗。寄り返して相手の下手を切ると、最後は体を投げ出して寄り切った。初日は横綱豊昇龍に敗れたが、大の里には初顔合わせから6連敗を喫したが、これで2連勝とし、一時の苦手意識も克服した格好となった。

取組後はテレビ中継のインタビューに、笑顔を交えて答えた。「毎日、全力でやっています。昨日(初日)は負けたけど、切り替えて勝ててうれしい」と、声を弾ませた。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)からは、上手を引くことの大事さ、絶対に離さないという気概が必要と説かれていた様子。インタビューでは「(師匠に)上手を取れと、ずっと言われていたので、取れてよかった」と振り返った。結びの一番の独特な雰囲気の中でも、口酸っぱく言われ続けてきたからこそ、体が無意識に上手を求め、最後まで離さない、この日の取り口につながった。

2月末の新三役会見では、両横綱を破った1月の初場所を振り返り、成長をつかんだ2番だったと語っていた。その時に語っていたのは「自分の中で『この一番が終わったら何か変わるだろうな』っていう予感を感じていた。それが勝ち星なのか、技術面のことなのか、精神面のことなのか、何か分からないですけど、多少なり何かが変わる気がして臨んだ。今後につながっていくかなと思います」という予感。先場所の横綱連続撃破は自信にもつながり、難敵大の里に得意の形になって勝ちきった。

3日目も過去3勝7敗と、合口の良くない関脇霧島と顔を合わせる。それでも「1番1番全力で。誰が相手でも全力で頑張ります」と誓った。存在感が増す中で、三役以上の相手との対戦が続く前半戦から白星を重ねる決意。先場所、優勝決定戦の末につかみ損ねた初優勝を目指していく。【高田文太】

【動画】大波乱!横綱大の里が土俵下まで飛ばされる

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