HKT48矢吹奈子(21)が16日、千葉・幕張メッセでの11周年記念ライブ「未来へのメッセージ」で、グループ卒業を発表した。来春に卒業コンサートを開催予定。小6で加入し、約9年半のアイドル人生の節目を迎えようとしている。
今でも鮮明に覚えている。13年11月。グループの2周年公演当日にインタビューした。3期生オーディションに合格してわずか3カ月で、オリジナル曲「ウインクは3回」でセンターに抜てきされたからだ。とにかく緊張していた。対談相手の田島芽瑠(当時13)のフォローを受けながら必死に言葉を紡いだが、「これからもみんなに負けないように、笑顔で頑張ります」という意気込みも、録音したレコーダーを最大音量にしないと聞き取りにくいほどのか細い声だったが、ステージでは抜群の存在感を放つのだから、とてつもない12歳が現れたと思った。
指原莉乃に憧れて加入した矢吹が、グループの顔になるのも時間の問題だった。殻が破れ、天真らんまんなキャラクターをいかして、バラエティーでも活躍。同期で同学年の田中美久との「なこみく」コンビは、48グループ全体でも中心になっていく。18年には「PRODUCE48」に挑戦し、同10月からはIZ*ONEの一員として、アジアを中心に海外でも活躍した。
昨年5月にHKT48に復帰。ちょうど1年前、久しぶりにインタビューした。グループ結成10周年とアルバム「アウトスタンディング」の発売に関するインタビュー。「ウインクは3回」のミュージックビデオ撮影当時を振り返り「さしこちゃん(指原)がうどんを頼んでくれたんですけど、1本ぐらいしか食べられなくて…。何も喉を通らなくなっちゃったんです」。それでも同アルバムのリード曲「突然Do love me」で単独センターを務めることについて「私、帰ってきて『単独センターになりたい!』って思ったんです。以前はそう思わなかったと思うんですけど、いろいろな経験をさせてもらって、多分自信がついて…。今まで単独ではやったことがなかったので、そう思えるようになったことが、自分の中での成長なのかなと思います」と成長を実感。「多分、HKT人生の中で、私は3~4人くらいいるんです」と笑った。
昨年10月期のフジテレビ系「顔だけ先生」で、グループ外の連ドラに初出演し、役者への思いをさらに募らせた。加入当初から、身長はグーンとは伸びていないが「人に届くような女優になりたい。女優として名を残せるように努力していきたいと思います」と語る姿はとても力強く、そして大きかった。
48グループは、自らの夢をかなえる「通過点」とする場所だ。昨年、HKT48も結成10周年を迎えた。今年12月に卒業を控えるメンバーも多く、不安視する声も挙がるが、そもそもアイドルを10年近く続けることが至難の業。コロナ禍になり、何もできなかった時をへて、イベントやライブも徐々に再開する中で、それぞれがアイドルをやり切り、夢をかなえるために前進するタイミングが重なっている。矢吹のように、さまざまな経験を積みながら、成長してきた物語が、新章を迎えているのだ。
矢吹も卒業までの時間は、約9年半の“アイドル矢吹奈子”の集大成にするつもりだ。「メンバーともっともっと思い出を作っていきたいですし、まだまだ伝えられることもあると思うので、限られた時間を有意義なものにしたいと思っています」。変革期を迎えるグループにとっても、大事な時間になることは間違いなさそうだ。【大友陽平】

