さしこが散った。前日5日にHKT48劇場公演デビューを果たした指原莉乃(19)が6日、福岡市内の同劇場で行われた「AKB48第3回じゃんけん選抜大会」(9月16日、日本武道館)のHKT48予備戦に出場し、初戦で敗退した。HKT48から3枠の本大会進出者は、森保まどか(14)江藤彩也香(14)中西智代梨(17)に決まった。

 これが指原らしさと言うべきか。キャプテン穴井千尋(16)との1回戦屈指の好カードに、会場がわく。じゃんけん大会初出場の後輩を、鋭い目つきで威嚇してみたが、パーを出して、あっさりと敗退。じゃんけん台に、ぐったりとヘタレ込んで「おっかしいな~。私のシナリオでは、ここで勝ち上がって、武道館の1回戦で負けるはずだったのに…」と、じだんだを踏んだ。予備戦からの出場で、センター奪取の確率は約0・2%だったが、確率50%の初戦すら、突破できなかった。

 ただ、会場を最も盛り上げたのは指原だった。選手入場では、何と「AKB48」のロゴTシャツで舞台に登場した。観客をどよめかせると、すぐさまそれを引き裂き、中に着ていた「HKT48」のロゴTシャツを誇らしげにアピール。会場のボルテージを一気に高めた。

 対戦相手を決めるくじ引きでも、最初はセンターの児玉と穴井の勝者と戦う、激戦区Bブロックを引き当てた。ところが、14番目の村重杏奈(13)がくじを引こうとボックスに手を入れたところ、1~5の番号くじが入っていなかったことが判明。抽選は仕切り直しとなったが、指原は再びキャプテン穴井との対戦を引き、好カードを実現させた。何度も見せ場を作る指原に、観客は大いに喜んだ。

 前夜の衝撃的なHKT48デビューは、山口・九州地域で販売の日刊スポーツが1面で報じ、地元一般紙まで社会ニュースとして取り上げた。5日の深夜番組や、この日の朝の情報・ニュース番組などでも「指原HKT48劇場デビュー」のニュースは報じられ、まさに福岡メディアは指原一色に。そんなフィーバーの中で、コロリと敗退する“ヘタレぶり”で、会場は大爆笑に包まれた。

 もっとも、指原の気持ちは、もはや個人よりもグループにある。「とにかく1人でも多くのHKT48メンバーに、AKB48の選抜メンバーに入ってほしいです」。代表に決まった後輩3人に思いを託した。【瀬津真也】