13歳で演じた「キック・アス」のヒット・ガール役は、クロエ・グレース・モレッツのひと味違うキャラを決定付けたように思う。無敵の戦闘能力を身に付けたおませな少女の予想を上回る活躍に魅せられた。
公開中の「シャドウ・イン・クラウド」では、25歳になったクロエが再びヒット・ガールの興奮を呼び覚ましてくれる。
第2次大戦下の南太平洋。ニュージーランド・オークランドからサモアに向かう大型爆撃機B-17に女性士官ギャレット(クロエ)が乗り込んでくる。司令部からの「特別任務」を詰めたカバンを抱えた彼女を迷惑に思うクルーたちは、離陸前に狭い下部銃塔に押し込めてしまう。
日本軍の攻勢が続いていた時期で、銃座から外をにらむギャレットの視界には偵察機に続き、ゼロ戦も姿を現す。さらには機体に取り付いた奇妙な生きものがエンジンに、ギャレット自身に襲いかかってきて…。
この映画の原案は「グレムリン」(ダン・オバノン)であり、謎の女性と秘密のカバンを巡る戦時ミステリーは中盤からSFホラーの色合いを濃くする。正直なところこの転換点あたりでは、トンデモ作品に引っ掛かったと席を立ちたくなったのだが、間を置かずギャレットと化け物の対決が本格化し、足元がスースーするような空中アクションに一気に引き込まれた。
ニュージーランド生まれのロザンヌ・リャン監督はB-17独特の構造を存分に生かし、空中お化け屋敷のように仕立てて楽しませてくれる。
クロエふんするギャレットの超人的な活躍の源はカバンの中身にあるのだが、前半の興趣をそぐことになるので、ここでは触れない。密度の濃い1時間23分。「キック・アス」もいい意味で予想を裏切る異色の作品だったが、今作も同様である。クロエ出演作にはいつも「拾い物」的な意外性がある。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




