コロナ禍で日常の変化が乏しくなったこともあり、「今日は何曜日だっけ」と新聞の日付欄を確認する回数が増えたような気がする。

そんな現状に妙にしっくりくるのが「MONDAYS また月曜日がやってくる」(10月14日公開)だ。

小さな広告代理店で働くクリエーターの朱海(円井わん)は、現在手掛けているCMの完成とともに、その発注元でもある大手代理店への転職が決まっている。が、発注元からの度重なる要望や催促、次々に降り掛かる仕事で寝る間もない。

何とか週末を迎え、もうろうとした中で目を覚ますと、そこは難題だらけで始まる月曜日の会社だった。当たり前のように仕事を始める朱海はそれが「同じ月曜日」だということに気付かない。ある月曜日の朝、後輩2人組がおずおずと近づいてくる。

「僕たちタイムループしています…」

気付かない他の同僚たち。象徴的な出来事を記憶の合言葉に、同僚たちにループの共通認識を広げていくが、一番鈍い部長(マキタスポーツ)が気付かない限り、どうやらこのタイムループは終わらない。

投げやりになる部員がいれば、新しいスキルを身に付ける良い機会と思う部員も。朱海自身の中にも、制作中のCMが完璧になるまで繰り返せば、最高の状態で転職できる、と妙な野心が芽生え始める。

やがて、部長の意外な過去が明らかになって…。

竹林亮監督=夏生さえり脚本のコンビは、何げない日常を切り取り、代理店業務の細部を描くことで、「ありえへん世界」に巧みにいざなってくれる。

円井わんは「映像研には手を出すな!」(20年)や「鳩の撃退法」(21年)で、不思議に印象を残す人だったが、今作では振幅の大きい演技力を実感。女性クリエーターのやる気と人間味にリアリティーがある。【相原斎】