3年前にネット上に投稿された記事を発端に、YouTube映像、小説化と進化した作品がとうとう映画化された。

3月15日公開の「変な家」で、この成り上がり作品に一線級の俳優が集結。個性の強いキャラクターをそれぞれかなりのハイテンションで演じている。

オカルト専門の動画クリエーターとして活動する雨宮(間宮祥太朗)はある日、マネジャーから引っ越し予定の一軒家の間取りが「変」だと相談を受け、コンビのように動画制作に関わっている情報提供者、栗原(佐藤二朗)を訪ねた。設計士として不動産会社で働く栗原は、無類のミステリー好きであり、即座に間取り図の違和感を指摘すると、そこからある恐ろしい仮説を導き出す。

原作者の雨穴(うけつ)さんをモデルにした雨宮を、間宮は職業として動画制作を続ける冷静な青年として演じている。どんな珍事も「常識」に照らして行動するので、見ているこちらには、ちょっと奇妙な職業にもかかわらず、一種の信頼感のようなものが生まれてくる。

一方、佐藤が演じる栗原はとにかく早口だ。怪しい感じはこの人ならではだが、滑舌のいい、理路整然とした推理が分かりやすい。つかず離れずのコンビ感が絶妙で、否応なく謎解きのワクワク感が盛り上がる。

この変な家に心当たりがあるという柚希と名乗る女性が登場してから、謎は一気に深まるのだが、演技派のイメージが定着した川栄李奈が渾身(こんしん)で変な感じを醸し出している。前髪で表情を微妙に隠しながら、美しさやかわいらしさを封印。女優魂を見せつける。

そして、瀧本美織、斉藤由貴、根岸季衣が3世代の役柄で怪演を競い、そこに高嶋政伸、石坂浩二がパロディックな匂いを漂わせながら、思わず笑ってしまうほどに振り切って登場する。

フジテレビ系「世にも奇妙な物語」でも「呪い裁判」(09年)や「復讐病棟」(14年)など、かなりエグいエピソードを演出してきた石川淳一監督が、今作でも思いっきりメリハリを効かせている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)