シリーズ第1、2作を引き継いだ「ゴーストバスターズ/アフターライフ」(21年)は、作品年次と同じ32年後のオリジナルメンバーやその血脈をしっかりと描き、仲間や家族の絆がより強調されたように思う。

29日公開の新作「-フローズン・サマー」は、その雰囲気を踏襲しながら、舞台を1、2作の主戦場ニューヨークに戻し、「最強ゴースト」との対決を描く。シリーズファンのど真ん中に直球を投げ込む展開に、ワクワクさせられる。

冒頭からゴースト・ドラゴンがビルを縫うように飛び、ゴーストバスターズのスペングラー一家が前作でも大活躍した改造車エクトワンでこれを追う。一家がニューヨークに越してきたいきさつや、自宅兼本部となった「消防署」が一気に紹介され、ゆるキャラのミニマシュマロマンも登場。あっという間に作品世界に誘われる。

今回の敵はすべてを凍らせ、「死の冷気」と呼ばれるゴースト、ガラッカ。ひょんなことから封印を解かれ、真夏のニューヨークが「アナ雪」のような氷結世界に変えられてしまう。

視覚効果(VFX)を駆使し、海から陸へと氷の世界が広がる描写はそれだけで見応えがあるが、それをさりげなく、ゆるっと笑いをまぶしながらやるところがこのシリーズの持ち味で、「モンスター・ハウス」(06年)のギル・キーナン監督がそんなテイストをしっかり継承している。

スペングラー家では、シングルマザーだったキャリー(キャリー・クーン)と前作にサマースクールの講師として登場したゲイリー(ポール・ラッド)が結婚。フィービー(マッケナ・グレイス)トレヴァー(フィン・ウルフハード)の兄妹と4人家族となっている。

作品とともに14歳から17歳へと実年齢を重ねたフィービー役のグレイスは、難しい年頃らしくドラマ部分をこじらせる役どころだ。「最強ゴーストバスター」らしからぬ人間くささで今回もストーリーを引っ張っる。亡霊メロディとの悲しい友情はこの映画の厚みとなっている。

前作からはラッキー(セレステ・オコナー)ポッドキャスト(ローガン・キム)、旧作からはダン・エイクロイド、ビル・マーレイ、アニー・ハドソンのオリジナルメンバー、愛らしい受付嬢役が記憶に残るアニー・ポッツが今回も登場して、配役は相変わらず義理堅い。

今回は「死の冷気」を鎮めると言われるファイア・マスター役としてパキスタン出身のクメイル・ナンジアニが参入。スタンドアップコメディアン出身ならではのテンポが作品にぴたりとなじんでいる。終盤のバトルシーンのキーマンとして貴重なアクセントだ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)