現在公開中の映画「タリーと私の秘密の時間」で役作りのために約20キロ増量したシャーリーズ・セロン。3人目の子供を妊娠し、出産と育児で疲れ切ってストレスだらけの日々を送る母親をリアルに演じるために激太りしたセロンは、ぜい肉がつき、お腹もぽっこりという生活感ありありの衝撃的な姿を披露して話題になっています。セロンと言えば、「モンスター」(03年)で連続殺人鬼になりきるために13キロ体重を増やして見事にアカデミー賞主演女優賞を受賞。さらに、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(15年)ではスキンヘッドの女戦士を演じるために丸坊主になるなどハリウッドきっての演技派として知られていますが、今作の役作りでは短期間で太るために大量の砂糖を摂取して鬱になるなど大変な苦労があったようです。

ハリウッドではセロンのように役作りのために体重を大幅に増やしたり減らしたりするなど、ストイックなまでに役作りに没頭するスターたちがいます。エクササイズやエステで美しくお手入れされたボディーも役作りのためなら太ることもためらわない。極限までに食事制限をして減量する。そんなストイックな役作りをするスターたちを紹介します。

◆レニー・ゼルウィガー

「ブリジット・ジョーンズの日記」(01年)と続編「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」(04年)のために13キロ増量。ぽっちゃり体形のブリジットが当たり役となり、キャリア初のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。

◆アン・ハサウェイ

「レ・ミゼラブル」(12年)で娘を養うために娼婦となり、病を患って死んでゆくファンティーヌ役を演じるため、11キロの減量に挑戦。食事は1日500キロカロリーに抑えるという過酷なダイエットで、撮影が終わった時には肉体的にも精神的にも喪失状態になったといわれています。そして、この役で見事にアカデミー賞助演女優賞に輝きました。

◆マシュー・マコノヒー

「ダラス・バイヤーズクラブ」(13年)で余命30日と宣告されたエイズ患者を演じるため、21キロの減量に挑戦。健康的でマッチョな体形だったマコノヒーはまるで別人のようになり、歩くのが困難な様子が目撃されるほど健康状態が心配されました。そして健康の危険と引き換えにアカデミー賞主演男優賞を手にしました。

◆ジャレッド・レト

半端ないストイックな役作りで知られるレトは、「チャプター27」(07年)でジョン・レノン暗殺犯マーク・チャップマン服役囚を演じるために30キロ増量。その後は、「ダラス・バイヤーズクラブ」でトランスセクシャルのエイズ患者に挑戦するために14キロの減量で体重を53キロにまで落としています。この役でアカデミー賞助演男優賞を手にしました。

◆クリスチャン・ベール

「マシニスト」(04年)で1年間眠れない不眠症に悩まされる主人公を演じるため、28キロの減量に挑戦。もはや骨と皮だけという変わり果てた姿に周囲も驚きと心配の声をあげていましたが、その直後には「バットマン・ビギンズ」(05年)の撮影のためにすぐに元の体形に戻すというすさまじい肉体改造を行ってファンを驚かせました。

◆ミシェル・ウィリアムズ

アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた「ブルーバレンタイン」(10年)では、やぼったい役柄を演じるために太ることを決意。そのぽっちゃりとした体でヌードシーンにも体当たりで挑みました。さらに「マリリン 7日間の恋」(11年)でも豊満な肉体でセックスシンボルとして知られたマリリン・モンローを演じるために大幅な肉体改造を行い、胸や腰回りをふくよかにするために7キロほど体重を増やしたと言われています。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)