新年明けましておめでとうございます。平成最後の新年を迎えましたが、ここハリウッドでは6日に発表されるゴールデン・グローブ賞授賞式を前に早くも今年の賞レースの話題で持ち切りです。2018年は黒人が主役の初の本格的スーパーヒーロー映画「ブラックパンサー」やレディー・ガガの映画初主演となる「アリー/スター誕生」、日本でも大ヒットしているクィーンの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」など話題作がめじろ押しの1年だったので、今年は例年に比べても特に映画ファンには楽しみな賞レースになっていると思います。また、今年は日本からも是枝裕和監督の「万引き家族」の外国語作品賞や細田守監督の「未来のミライ」のアニメ映画賞ノミネートなどもあり、日本人にとっても賞レースの行方は気になるところでしょう。
映画ファン待望のアカデミー賞ノミネーション発表まではまだ少し時間がありますが、今年の賞レースの予想を交えながらオスカー候補になりそうな注目作品を紹介します。
◆「アリー/スター誕生」 日本でも公開中
レディー・ガガが初の映画主演を果たし、「アメリカン・スナイパー」(14年)などで知られる俳優ブラッドリー・クーパーが監督デビューした「スタア誕生」の4度目となるリメイク。クーパー演じる大スターに才能を見いだされてスターへの階段を昇り詰める主人公アリーをガガが好演。ガガは劇中で披露する歌声はもちろんのこと、演技でも高い評価を受けており、主演女優賞の候補に名乗りをあげています。また、ガガと共に劇中で素晴らしい歌声を披露したクーパーも監督としての手腕も高く評価され、ゴールデン・グローブ賞では主演男優と監督賞にWノミネートされており、オスカーでもガガの主演女優賞と共にクーパーのWノミネートにも期待が持たれています。
◆「ヴァイス」 日本公開未定
ゴールデン・グローブ賞で最多6部門にノミネートされたのが、米国史上最強の副大統領といわれたディック・チェイニー氏の伝記映画。徹底した役作りで肉体改造もいとわないことで知られるクリスチャン・ベールが体重を20キロ増やしてチェイニー元副大統領になりきり、その変貌ぶりが話題にもなった同作は、オスカーでも作品賞、監督賞、主演男優賞、ジョージ・W・ブッシュ大統領を演じたサム・ロックウェルの助演男優賞、脚本賞などのノミネートが有力視されています。「アメリカン・ハッスル」(13年)「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(15年)でアカデミー賞にノミネートされ、「ザ・ファイター」(10年)で助演男優賞を授賞しているベールが、実話で4度目のノミネートとなるか注目です。また、「スリー・ビルボード」で昨年のアカデミー賞助演男優賞を受賞したロックウェルがブッシュ大統領を完璧にコピーした演技も注目されており、2年連続ノミネートにも期待が持たれています。
◆「グリーン・ブック」 3月1日より日本公開
第43回トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞してオスカーレースの筆頭候補にあがった注目作。ゴールデン・グローブ賞でも作品賞や監督賞など5部門にノミネートされています。まだ人種差別が残る1960年代の米南部を舞台に黒人ジャズピアニストとイタリア系の運転手の人種を超える友情を描いた実話です。運転手を演じたヴィゴ・モーテンセンの主演男優賞とピアニスト役のマハーシャラ・アリの助演男優賞ノミネートも確実視されています。「ムーンライト」(16年)でアカデミー賞助演男優賞に輝いたアリの2度目の受賞にも期待です。
◆「女王陛下のお気に入り」 2月15日より日本公開
18世紀初頭のイングランドを舞台にした宮廷ドラマである本作は、ゴールデン・グローブ賞で2位タイとなる5部門にノミネートされている他、第75回ベネチア国際映画祭でも審査員大賞となる銀獅子賞と女優賞をW受賞しています。病弱なアン女王を演じてベネチアで女優賞を受賞したオリヴィア・コールマンは主演女優賞、貴族への返り咲きを狙う女官を演じたエマ・ストーンと女王の幼なじみで女王の世話役として絶大な権力を持つレディ・サラを演じたレイチェル・ワイズは共にゴールデン・グローブ賞助演女優賞候補に挙がっており、オスカーでも実力派女優2人のWノミネートが実現する可能性も。
◆「ブラック・クライズマン」 3月日本公開予定
鬼才スパイク・リー監督が、70年代に黒人の刑事が過激な白人至上主義団体KKKに潜入捜査する大胆不敵な事件を題材にしたノンフィクション小説を映画化。第71回カンヌ国際映画祭では最高賞パルムドールを受賞した「万引き家族」に次ぐグランプリを受賞しており、ゴールデン・グローブ賞でも作品賞、監督賞、アダム・クーパーの助演男優賞で候補入りしています。主演の黒人刑事ロンを演じるのは、名優デンゼル・ワシントンの息子ジョン・デビッド・ワシントン。くしくも父ワシントンがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたリー監督の「マルコムX」が映画デビュー作だったワシントンと「スター・ウォーズ」シリーズでカイロ・レンを演じるドライバーの相棒コンビによる掛け合いも注目。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)





