ドラマ「スタートレック」シリーズのカーク船長役で知られるウィリアム・シャトナーが、史上最高齢となる90歳で宇宙を訪れたことが話題になっていますが、アメリカでは民間の宇宙開発企業による宇宙旅行の競争が激化しています。

「スタートレック」でカーク船長を演じたウィリアム・シャトナー(右から2人目)が宇宙船「ニューシェパード」に乗り込む(ブルーオリジン社提供=AP)
「スタートレック」でカーク船長を演じたウィリアム・シャトナー(右から2人目)が宇宙船「ニューシェパード」に乗り込む(ブルーオリジン社提供=AP)

シャトナーが今回搭乗したのは、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が設立したブルー・オリジン社の宇宙船ニューシェパードで、7月の初飛行に次ぐ2度目の宇宙飛行となりました。また、ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏が設立したヴァージン・ギャラクティックも今年7月に初の有人試験飛行に成功しているほか、起業家イーロン・マスク氏率いるスペースXも4人の民間人だけを乗せた宇宙船クルードラゴンによる3日間の地球周回旅行を成功させています。

シャトナーが搭乗したニューシェパードは、地球と宇宙の境にある地上100キロメートルの「カーマンライン」を超えて宇宙空間に到達するわずか10分程度の宇宙旅行ですが、数分間の無重力体験ができるほか、宇宙から地球を眺めることもできます。特別な訓練を受けた宇宙飛行士だけが宇宙に行くことができた時代は終わり、一般の人でも宇宙を体験し、より身近に感じることができるようになってきました。

しかし費用は高額で、ブルー・オリジンやヴァージン・ギャラクティック社の宇宙旅行は1人20万ドルから30万ドルほどで、日本円にすると2000万円以上します。そんな高額な旅費を支払うことはなかなか普通の人には難しいと思いますが、フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのエプコットにこのほどオープンした天空ダイニング「スペース220レストラン」なら、宇宙旅行気分を味わいながら食事を楽しむことができます。

宇宙ステーションをイメージしたダイニングエリア
宇宙ステーションをイメージしたダイニングエリア

同リゾートの50周年記念の一環として、世界初の「天空の食事」をコンセプトに、地球から220マイル(約354キロ)離れたケンタウリ宇宙ステーションを訪れる体験型のレストランがオープン。このほど世界各国の報道陣たちを招いてお披露目会が行われ、天空の食事を体験してみました。

受付でチェックインすると搭乗券が渡され、宇宙ステーションに向かうための特別なスペース・エレベーターに案内されます。スペース・エレベーターに乗り込むと、足元の景色はどんどん遠ざかって小さくなり、上を見上げると宇宙ステーションが急速に近づいてきます。

スペース・エレベーターから見る眼下の景色。エプコットがどんどん小さくなっていきます
スペース・エレベーターから見る眼下の景色。エプコットがどんどん小さくなっていきます

フロリダ州がはるか下に見えてきたころ、宇宙ステーションに到着します。宇宙飛行で地球を離れる体験をした後は、エレベーターを降りると目の前には料理に使われる新鮮な野菜が回転する空間があります。そして、ダイニングエリアに進むと眼下には美しい地球のパノラマが広がっており、宇宙空間と青い地球を背景に天空の食事を楽しむことができます。窓の向こうにはスペースシャトルや犬と散歩する宇宙飛行士、隕石なども現れ、まるで本当に宇宙にいるかのような気分になってきます。

地球のパノラマを背景に食事が楽しめます
地球のパノラマを背景に食事が楽しめます
窓の外に宇宙空間を眺めながら食事がいただけます
窓の外に宇宙空間を眺めながら食事がいただけます

料理はランチは前菜とメインの2コース、ディナーはそれにデザートが加わった3コースで、キッズメニューやアラカルトのサイドメニューもあります。宇宙感覚のカクテルやノンアルコールドリンク、北斗七星をイメージしたビールなどもあり、宇宙旅行気分を盛り上げてくれます。メイン料理はステーキやサーモン、バーガーなどから選べ、ランチなら55ドル、ディナーは79ドル。本物の宇宙には行けませんが、お手軽な価格で本格的な宇宙ダイニング体験ができるのは、世界でもここだけ。宇宙に思いを馳せながら料理とお酒を楽しむのもおつなものです。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)