新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ライブなど多くの音楽イベントがいまだ中止、延期を強いられている。アーティストは今、何を思っているのか。氣志團の綾小路翔(年齢非公表)が、熱いメッセージを寄せてくれた。

   ◇   ◇   ◇

氣志團全員での演奏は、3月の半ばにラジオ番組に出演した時が最後で、集合したのも3月末の会議以来ありません。個人としても、ほとんどがリモートでの収録に移行されています。自宅では楽曲制作と新たなる展開への構想・妄想の日々です。

4月半ばにはGLAYのTAKUROさんからご連絡をいただき、人生初の“オンライン・サシ飲み”を経験しました。これがいかに画期的であるかを知り、翌日にはメンバーとZOOMで打ち合わせながら曲作りを開始。先日はマネジャー達も含め、総勢10人で飲み会も開催しました。

コロナが拡大する中で、ネットで多く見かけた「今は音楽は要らない」という言葉。カチンとは来たけど、ストンとも落ちました。だけど、そんな風にささくれだった人々の心を癒やすものこそが音楽だったり、演劇だったり、美術だったり、いわば芸術だったりする。人類が始まってから、一度も失われなかった文化。世界がこの脅威と正面から向き合った今こそ、僕らの出番だと思っています。

5月からのツアーも全公演延期になりました。再開した時は、「当たり前なんてない」「同じ1日などない」ということを分かち合えればと思います。これは結成時からの己の活動理念であるけれど、東日本大震災から始まり、今回のことまでつながり、この10年でより真実味が増したと思う。一緒に歌ったり、肩を組んだり、ハグやハイタッチすら、全てが何よりも尊い瞬間だったということを心に留めて、今まで以上に大切に空間と時間を使い、作品を生み出していきたいです。

ファンのみんなに…? もちろんご褒美を用意しています。収束時に開催を予定している活動再開記念公演「超絶過剰濃厚接触GIG~タイガー!ファイヤー!サイバー!ファイバー!ダイバー!バイバー!ジャージャー!ファイボ!ワイパー!だけど俺らアイパー!猫っ可愛がり大集会~」ですね。当然日程は未定ですが、我々を待っていてくれたみんなを、世間が引くくらい猫っ可愛がりします。この日のためにも、今は良い子にしてるんだゾ。(構成・大友陽平)

○…綾小路は「おうち時間」で“ぬるいキャンプ”にはまっているという。「テラスにキャンプギアを並べて、疑似的な屋外生活を楽しんでいます。ランチパックをホットサンドメーカーでただ焼くだけ、みたいな“ぬるクック”が最高です」。さらにゲーム「ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド」も始めたといい「こんなとてつもないものを作ってしまう、われらが世界のNintendo。この国に生まれた事が誇らしくなります」。

◆綾小路翔(あやのこうじ・しょう) 4月26日、千葉・木更津市生まれ。“孤高のヤンクロックバンド”氣志團の團長。97年4月に結成し、01年にメジャーデビュー。02年5月発売のシングル「One Night Carnival」で人気に。04、05年に「NHK紅白歌合戦」に連続出場。12年から地元千葉の房総で音楽フェス「氣志團万博」を開催し、毎年5万人を動員。今年も9月26~27日に開催予定。