「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」などオリジナルの傑作ミュージカルを生んできた音楽座が来年2022年の創立35周年を前に音楽座ミュージカル「JUST CLIMAX」を7月31日、8月1日に東京・町田の芹ケ谷スタジオで上演する。

1987年に旗揚げした音楽座ミュージカルは「シャボン玉」をはじめ「マドモアゼル・モーツァルト」「とってもゴースト」「ホーム」「メトロに乗って」などのオリジナル作品で知られるが、今回はこれまでの時代も国も超えた11作品のナンバー、場面をもとに新たな1つのドラマとして再構成する。

昨年、主演した「SUNDAY」で文化庁芸術祭新人賞(演劇部門)を受賞した高野菜々(32)は、ドラマの中で全体のテーマを背負うキーパーソンとなる女性を演じる。「コンサートやショーとも違う、単に作品の名場面を並べるものでもありません。私が演じる女性と一緒に旅をするような感じで、音楽座ミュージカルの軌跡を体感していただければ」と話す。

タイトルの「JUST CLIMAX」には、この瞬間を自分のクライマックスとして生きていこう、という思いも込められている。「音楽座ミュージカルの作品では、登場する人たちは自らの人生と全力投球で向き合って、生きている。力強くて、しなやかな強さを感じ取ってくれたら、いいなと思います。私も稽古の中であらためて発見することもあって、楽しみながらやっています」。

音楽座には08年に入団し、「シャボン玉」「泣かないで」「リトルプリンス」などに主演してきた。芸術祭新人賞受賞については「周りにいろいろと迷惑をかけてきたので、恩返しをしたかった。1つの形として評価していただいてありがたかったし、受賞をきっかけに腹が決まったというか、いいプレッシャーの中で舞台に臨めます」。来年春には文化庁の新進芸術家の海外研修でニューヨークへの留学が決まっており、さらなる飛躍が期待されている。

今回の舞台で歌われるナンバーは「シャボン玉」から「ドリーム」、「マドモアゼル」から「旅」、「ホーム」から「昇天」など14曲の予定で、カーテンコールを含めて上演時間は1時間半という。高野は「私たちにとっても挑戦で、新しい音楽座ミュージカルとなる。今の音楽座がどこに向かっていこうとしているのかを見てほしい」と意気込んでいる。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

音楽座ミュージカル「SUNDAY」で主演を務めた高野菜々(2020年3月撮影)
音楽座ミュージカル「SUNDAY」で主演を務めた高野菜々(2020年3月撮影)