落語家の桂宮治(かつら・みやじ=45)が日本テレビ系の人気演芸番組「笑点」のレギュラーに抜てきされ、1月23日の放送で初登場した。収録は1月15日に行われており、初めて「笑点」に臨んだ感想を聞いた。

「収録だけでなく、密着取材が3件も入ってました。今までで一番忙しい1日で、信じられないくらい疲れました。朝から夜までに口にしたのは水だけ。緊張したけれど、本当に忘れられない1日になりました」

2016年(平28)からメンバーだった林家三平(51)の勇退を受けての大抜てき。31歳の時に年収1000万円以上の化粧品の敏腕セールスマンから落語家に転身。客の爆笑を誘うパワフルな高座で注目され、8年前からBS日テレ「笑点 特大号」の若手大喜利に出演していた。

2021年には司会の春風亭昇太(62)が会長を務める落語芸術協会で5人抜きの真打ち昇進を果たしている。

「若手大喜利をやっている時はいつか、本編のメンバーになったらうれしいなと思っていたけれど、いざなってみると、楽しい、いぇい、という感覚はゼロ。56年の歴史ある番組ですし、プレッシャーと恐怖しかありません」

メンバー入りを聞いたのは、「半袖、短パンで歩けるころ」。1月から定期的に土曜日に収録があるため、決まっていた仕事を30件以上断ったという。

「その時は理由が言えずに申し訳ないと思いました。でも、元日の『笑点』でメンバー入りが発表されたら、皆さん喜んでくれた。発表直後にはお祝いの電話やメールが300件ほど入っていました」

収録前日には、林家木久扇(84)ら先輩レギュラーから激励の電話を受けたという。

「大スターの師匠から『僕も最初は緊張したよ。先輩・後輩は関係ないから、どんどん頑張ってね』と言われました。他のメンバーの方からも温かい言葉をかけられて、皆さんの『笑点愛』を感じましたし、本番でもこんな若手を盛り立ててくれてありがたかった。家族の一員として、ちゃんと受け入れてもらったような気がしました」

収入があまりない前座時代、妻は銀座のクラブホステスをして家計を支えた。苦労を知るからこそ、夫の「笑点」入りに大喜びと思いきや、極めて冷静だったという。

「私とは同じ感情にならないようにしているみたいで、僕が喜んでいる時は冷静に、悲しんでいる時は陽気にしてくれている。心の中では喜んでくれていると思うけれど、『決まったよ』と伝えた時も『みんな見てくれているんだね』とだけ言ってくれました。僕がてんぐにならないのも、彼女のおかげです」

初登場時は黒紋付姿で、「笑点」で着る着物の色などは未定という。

「今がピークだと思うけれど、地に足をつけて、焦らずにやりたい。『笑点』は実家のような、ホッとする番組。実家に帰って、風呂場だったり、何かリフォームしていたら、ウキウキするじゃないですか。僕が入ったことで、なんかちょっと変わったね、と言われるような楽しい存在でいたい」

23日放送では、メンバーの席替えも行われた。宮治の加入で「笑点」に新しい風が吹きそうな予感がする。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)