18年10月、今年2月と2回にわたり当日誌で取り上げたのとほぼ同様の、ビットコインを要求してくる「脅迫メール」がまた届いた。丁寧だがやたらネチネチした、少しヘンな日本語で書かれているのが特徴で、おおむね、


・約2カ月前から貴方のデバイスのすべてにアクセスしている。

・貴方の個人情報、SNS、メールなどすべてにアクセス済みである。

・貴方がアダルトサイトを視聴し卑わいな行為をしているシーンを録画し、その動画を持っている。

・その動画を友人や知人らに公開されたくなければ、ビットコインで48時間以内に送金しろ。

・もし送金したら、そうした動画はすべて削除する。


などという流れの文章構成になっており、同一グループ(単独者)か系列グループ、もしくは同じ手口をまねているグループ(単独者)が送信していると推察される。

ただ、ヒマだったので今回もメールを熟読してみると、前回、前々回との微妙な相違点を発見。要求額がさりげなく徐々につり上げられていたのだ。

ちなみに前々回(18年10月)は550ドル相当のビットコイン送金を要求。前回(今年2月初め)はその3倍近い、1450ドル相当のビットコインが提示されていた。今回は「17万円」と円表記に変わっていたが、前回のメールがきた2月初めごろは1ドル=105円前後だったため、単純計算で1450×105=約15万2000円。つまり前回に比べて今回は、2万円近くも額をつり上げてきたことになる。

前回、前々回に比べて要求額をさりげなく上げているくせに「お互いのことは綺麗さっぱり忘れてしまい」などとあまりにも都合のよい要望を突き付けてくる脅迫メール送信者
前回、前々回に比べて要求額をさりげなく上げているくせに「お互いのことは綺麗さっぱり忘れてしまい」などとあまりにも都合のよい要望を突き付けてくる脅迫メール送信者

さらに、(筆者あての場合)今までなかった“懇願”も追記。メールの後半に「下記の行為をやめてください」として、「警察や他のセキュリティーサービスと連絡を取ろうとすること」と書かれていたのだ。そして、送金確認後の双方についても「その後は、お互いのことは綺麗さっぱり忘れてしまい」と書き、一方的な“あとくされなし”の関係解消を希望してきた。

人をネチネチ脅迫しておいて警察に連絡をとるのを「やめてください」とあまりにも都合がよすぎる懇願をしてくる脅迫メール送信者
人をネチネチ脅迫しておいて警察に連絡をとるのを「やめてください」とあまりにも都合がよすぎる懇願をしてくる脅迫メール送信者

自分からややこしい脅しをして17万円を“恐喝”しようとしておいて警察に連絡しないでほしいだとか、あとくされなしを要望するだとか、身勝手極まりないが、そもそもすでに複数の県警がこの手の「ビットコイン脅迫メール」について公式サイトで注意喚起をしている。

例えば警視庁生活安全部も今月7日、公式ツイッターで「ビットコインを要求する詐欺メールが拡散中」「『貴方の卑わいな動画を公にされたくなければ16万円相当のビットコインを払え』等のメールが確認されています」「要求には絶対応じないでください」と呼び掛けたばかりだから、今さら警察に言うとか言わないとかいう状況ではなさそうだ。

同警視庁のツイッターでは「16万円」になっているのに、筆者のところにきたメールでは「17万円」とさらに1万円高額になっていることも要求額つり上げの一環なのかどうか若干気になるが、それはさておき、少なくとも18年から同種の脅迫を繰り返しており、海外発の可能性もうかがわれる送信者の「正体」が解明される日はくるのか。

【文化社会部・Hデスク】