広瀬すずの輝きは、ただごとやない。笑う。悩む。泣く。怒る。全部で見る者の目を奪う。私はたいがい女優を見るときでも、おっさんなりのスケベ目線で見てるけど、今の、少なくともこの映画の彼女は別。ひたすら愛らしい。そうとしか思えん。不思議やけど。

 高校野球でも有名な福井商が、09年の全米チアダンス選手権で優勝した実話に基づくストーリー。最初は正直、すずちゃん見てデレ~とするだけやったのに、中盤からメッチャおもろなる。本気で全米制覇を目指すため、仲間にダメ出ししたり、きれいごとで終わらん空気感がむんむん漂う。部員たちの成長を、天海祐希演じる顧問の目線で“裏”から回想するシーンは、私、号泣しました。何よりも見事なんが、クライマックスのダンスシーン。安っぽさが全然ない。きっと、すずちゃんをはじめ部員役の子全員がむちゃくちゃ練習したんやと思う。

 「頑張ったからといって、報われるとは限らない。でも、頑張るしかない」。劇中の顧問のセリフ。堂々たる青臭いです。でも、説得力がある。なんせ、ほぼ実話やからね。堂々たる汗と涙の青春物語。モデルになった福井商の先生も満足してるんちゃうかな。【加藤裕一】

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