08年から始まったドラマシリーズが大ヒットした「コード・ブルー」。従来の「医療ドラマ=天才医師のワンマンショー」というステレオタイプを取っ払い、万人が共感できる、悩みながらも仲間と成長していく、等身大の医師たちを描いた。物語の中でも、現実世界でも、10年の時を重ねた山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介は、フライトドクターを育てる立場になった。悩みは増えたし、すれ違うこともあるけれど、「救いたい」思いだけは変わらない。

 今作で描かれるのは、東京湾に浮かぶパーキングエリア「海ほたる」への巨大フェリー衝突事故と、成田空港への航空機緊急着陸事故。一刻を争う救命現場の描写だけでは終わらない、そこから生まれる深く温かい人間ドラマがシリーズの魅力だ。自分の行動は相手のためになっているか? とにかく彼らは悩む。登場人物1人1人の心情を丁寧に捉えた作品からは、優しささえ感じる。

 07年の放送当時は日本に14機しかなかったドクターヘリだが、現在は全国に配備されるほど普及したという。現実社会に影響を与えるドラマなんて、なかなか見られるものではない。【杉山理紗】

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