歯ごたえがすごい。大阪の下町にある安アパート「コーポ」。お湯は出ないし、風呂もない。年齢も性別も違い、職業もよく知らないながらも、1つ屋根の下に暮らす訳ありの面々は個性的だ。
岩浪れんじ氏の同名漫画を実写映画化。冒頭、大阪の繁華街「新世界」にある通天閣が映し出され、スカジャン姿で自転車に乗り「コーポ」に帰ってくるのが主人公のフリーター辰巳ユリ(馬場ふみか)。コーポの一角で怪しげな「商売」を営む初老の宮地友三(笹野高史)が「管理人さんが家賃を回収に来よるで~。取り立てやで~」と声をかけて回ると、女性に貢がせている中条紘(東出昌大)、日雇いの肉体労働者の石田鉄平(倉悠貴)は一斉に外へ飛び出していく。逃げっぷりに笑いをかみ殺した。
住人同士のつきあいは一見近しいが、1人1人が複雑な過去を背負う。家庭崩壊、DV…。重すぎて、奥歯をかみしめた。過去のことは決して話さない宮地のセリフがいい。「ぼちぼち生きていたらええこともあるんや」。主題歌は男女デュオ、T字路sの「愛おしい日々」。ボーカル伊東妙子のハスキーでドスの効いた魂の歌声が心に染みる。【松浦隆司】
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