インド映画と言えば、歌って踊りまくる陽気なイメージが強いが、今作は歌はあるけど、コテコテの踊りはない。心躍るリズムが、2人の女性の「希望の調べ」のように思えた。

舞台は01年、インド。同じ赤いベールで顔が隠れた2人の花嫁が満員列車に乗り合わせる。何組もの新婚カップルが乗り合わせた偶然が重なり、夫たちの知らぬ間に入れ替わり、別の嫁ぎ先に連れて行かれてしまう…。

「そんな、アホな」とツッコミを入れたくなるコメディータッチのスタートだが、育ちも性格も全く異なる2人の女性が、運命のいたずらを機に、自らの境遇や生き方を見つめ直す。豊かな大自然、特殊な結婚事情だが、家族愛にあふれる結婚式、色鮮やかなサリー、スパイス香る屋台メシ。インドの魅力がいっぱいだ。

映像の質感が少し気になったが、どこか懐かしさがある。「この国の女性はみんな、昔から詐欺(フロード)にあっている」。花嫁を助ける屋台のおばちゃんをはじめ、ハッとさせられるセリフが盛りだくさん。「素顔」のまま、思うがままに生きたっていい。踊りはないけど、心が弾んだ。【松浦隆司】

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