脳梗塞から桂ざこば師匠(69)が仕事復帰した。大阪松竹座公演の稽古中に倒れてから、ちょうど2カ月。先月末に舞台復帰し、今月4日には、テレビにも復帰した。幸いにも日常生活には支障がないほど回復しているが、しゃべりが本業の落語家だけに、まだリハビリは続いている。

 「名前とかな、まだまだ出てけえへんねん」

 自分でも、納得いかないこともまだあるらしく、歯がゆい思いをしているという。ただし、その効果か、超ヘビースモーカーの師匠が、禁煙に成功していた。

 7月29日。ほぼ2カ月ぶりの仕事復帰の舞台は、桂南光とのふたり会だった。取材に行くと、いつものなじみの事務所スタッフがおり、聞いてみた。

 「師匠、もうタバコ吸うてはります?」

 師匠は以前は1日に3~4箱ほど吸うヘビースモーカーだった。

 禁煙のはずのホール楽屋で、気づけばタバコに火をつけ、ぷか~っ。誰も止められず、禁煙なんて師匠の前では有名無実。そんな場面に何度も出くわした。師匠の取材会などで呼ばれて会場に行くと、取材開始の前後には必ず、喫煙所でお会いした。

 そんな師匠だけに、もう吸っていると思っていた。ところが、答えは「NO!」。スタッフいわく「禁酒、禁煙、守ってはりまっせ!」だ。え~っ! お酒まで断っているとは! 

 落語家として、以前と変わらぬ姿を見せるため、きちんと禁酒、禁煙を守っていたのだった。ただし、師匠に吸う機会を与えないため、スタッフも努力していたことが分かった。

 灰皿を目にすると、「おい! タバコ!」とくるかもしれないため、師匠の行く先々で、灰皿を撤去して回ったそうだ。そして、においにも敏感なため、喫煙者のスタッフも、師匠と一緒にタバコをやめた。

 話を聞いたスタッフも喫煙者だったが「私も、やめましたで。におい、やっぱりしますからね」と言う。そして、こう続けた。

 「あ、こんな不良(記者)とはつきあわんでよろし、言うときますわ。師匠に近づかんといてや、あきませんで」。いたずらっぽく笑いながら、こう言われた。実は記者も喫煙者。想像もしない形で「取材NG」を言い渡された(笑い)。【村上久美子】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)