4年に1度のサッカーの祭典、ワールドカップ(W杯)ロシア大会が開幕しました。全国でも珍しい「足の神様」として知られる大阪府豊中市の服部天神宮は期間限定の「W杯神社」になります。本殿には4年に1度、W杯期間限定の神札(おふだ)がまつられ、この期間だけの「特例」もあります。

 同神社では15日、日本代表の活躍を祈る必勝祈願祭が営まれました。サポーター約20人が駆けつけ、本殿には公式球、日本代表のユニホームが飾られました。

 その中でもひときわ目を引くのが縦1メートル以上もある大きな神札です。加藤芳哉宮司(59)によると、日本がW杯初出場を果たした98年のフランス大会のときにつくられ、それ以降はW杯期間中だけ本殿にまつられています。

 祈願祭で祝詞をあげた加藤宮司は「23人の選手がけががなく、ベストコンディションで戦え、前回以上の成績を残せますようにとの思いを込めました」。祈願祭は、日本が初出場を果たした98年のフランス大会から毎回開催され、今回が6度目です。

 境内には参拝者が寄せ書きができるように国旗も用意されています。「本来、神社では国旗は掲げるものです。悩みましたが、みなさん思いを届けるにはどうしたらいいか。W杯期間だけは特別です」。フランス大会から始めた寄せ書きですが、国旗も4年に1度だけの“W杯仕様”です。

 加藤宮司によると、天神さんの御利益にあずかったスポーツ選手は多く、男子サッカーのメキシコ五輪得点王釜本邦茂氏は、現役時代からしばしば参拝に訪れていたそうです。

 同神社の「足の神様」の由来は、平安の昔、「学問の神様」菅原道真が大宰府に流される途中、持病の脚気(かっけ)の回復を、この地にあった医薬の神を祭ったほこらに願をかけたところ、すっかり治ったという言い伝えがあり、境内には健脚を願う絵馬がずらりと並びます。

 W杯は約1カ月にわたって熱戦が繰り広げられます。日本代表が敗退すれば、神札や国旗はしまわれます。日本は19日午後3時(日本時間午後9時)から、コロンビアとの初戦に臨みます。日本代表のW杯が終わるまで、加藤宮司は毎朝、祈願します。毎日のように参拝するサポーターもいるそうです。「W杯神社」には当分、サポーターが足しげく通いそうです。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)