だれだってしんどいときがあります。大阪市北区の繁華街・北新地で17日午前に起きたビル火災。当日の夜、現場を訪れた大阪市内に住む会社員の男性(54)の目にはうっすらと涙がにじんでいました。

男性は約4年前から火元となったビル4階部分に入るクリニック「西梅田こころとからだのクリニック」に通院していました。

男性は外回りの営業のため、以前から昼間に通院していた診療内科から足が遠のいていました。夜間も診てもらえる心療内科はないものだろうか? 偶然に見つけたのが「西梅田-」でした。

初診のときに西沢弘太郎院長からなぜ、夜間診療を受け付けているのか、丁寧な説明がありました。

「昼間に通院するのが難しく、つらい思いをしている方も多い。そういう人たちのためにも夜間診療をしたい」

男性は言います。「人に言えない苦しみを持っている患者さんのために朝、昼、夜と向き合ってもらっていた。普通の心療内科は予約が必要ですが、ここは予約をしなくても、待てば診てもらえる心療内科だった」。

院長からかけられた忘れられない言葉があります。

「つらいことがあったら全部言ってください」

思いを吐き出した男性は「アドバイスが適切で、ありがたかった」と振り返ります。

通院していることを家族にも打ち明けていない男性は心の支えを失った喪失感があります。「院長さんの顔が忘れられない。僕もどうしたらいいのか…。それが本音です。助けていただいた院長、看護師さん、まだ通院している人はたくさんいる」。

深い悲しみととともに憤りを覚えるといいます。

「何を考えているのか。こんなことがあっていいのかと思う」

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)