近畿大学OBで音楽プロデューサーのつんく♂(53)が先日、大阪府東大阪市の同大学で開かれた入学式で「つんく♂からの新入生最初のゼミナール」と題し、初講義を行いました。「時代の流行を追うな、隙間を探せ」など、経験に基づく「講義」は新入生だけではなく、社会人にも役に立つものでした。

モニターを使った講義では、「5分で分かる近大生が勝つ方法!」として、まずは、いまの時代背景を説明しました。

その上で「令和はバランスの時代。バランス感覚のいい人間が勝つ」と強調し、「Only you can do it(君にしかできないことをやろう)」とメッセージを送りました。

講義は簡潔に、新入生に分かりやすく-。そんな思いが伝わるような構成でした。

「5分で分かる近大生が勝つ方法!」とキャッチフレーズのもと、「近大生がすべき、たった4つのこと」を紹介しました。

<1>好きなことに1日24時間興じよう!

「自分の興味に100%エネルギーを注ぐためにバランスよく生きること」

<2>「教えて!」っていうことを恥じるな!

「分からないことは他人にじゃんじゃん聞く。遠慮はいらない。逆に知っていることがあれば、知らない人に教えてください。これで頭の中が整理されるし、学びになる」

<3>時代の「流行」を追うな、隙間を探せ!

「みんながそっちに向かっていると、あれをしなければいけない? などと不安になり、みんなが並んでいる後列に並んでしまう。時代を流行を追い掛けるのではなく、すべきことは隙間を探すこと。だれもが見過ごしているおいしい隙間を探してください」。

そのヒントとして「隙間は自分のすごく近くにあり、もしくは自分の生きてきた過去にある」。

<4>他の大学生が嫌がることならなおさらやろう!

「他人が嫌がっていることはチャンス。まとめ役などめんどくさい役は率先してやってください。これは隙間を見つけるきっかけにもなる」

その上で欠かせないのが「情熱」「吸収力」と力説しました。

4つの根底にある「つんく♂の教え」は、社会人にとってもとても大事なこと。変化の激しい時代では、過去の慣例にとらわれず、柔軟に物事に対応する力が求められています。

15年度の同大の入学式で、喉頭がんの手術で声帯を摘出して声を失ったことを公表したつんく♂。式典後、パソコンのチャット機能を利用して取材に応じました。

新型コロナウイルス感染症によってこれまでの生活が大きく変化し、心身にストレスや負担を感じている人も多い。人生でたいへんなときの対処法としてこう応えました。

「コロナに限らず、いろんな問題にぶつかっても『絶対に負けない!』という気持ちで乗り切るだけです」

つんく♂の言う「隙間を探す」。別の言葉で言うなら、「足下(そっか)に泉あり」でしょうか。自分の足元を掘ってみると、必ず泉が湧いてくる-。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)