舞台映えする容姿、立ち姿に将来性を感じさせる雪組4年目、永久輝せあが新人公演「ミュージカル ルパン三世」で初主演する。誕生日が天海祐希と同じで、宝塚初観劇は朝海ひかるの舞台。「海に縁がある」と芸名を「SEA=せあ」に決めた。97期男役では初主演。夢の大海原へかじを取り始めた。東京宝塚劇場は3月5日。

 4年目。97期男役では新人公演初主演になる。「最初は驚きすぎて言葉も出なかったです」。性格的に「自信がないタイプ」と言うが、芯は強そうだ。作品は国民的作品「ルパン三世」のミュージカル化。本公演はトップ早霧せいなの本拠地お披露目になる。

 「101年目の幕開きで早霧さん、咲妃みゆさんのお披露目。おめでたい作品で主演ができるのも幸せ」

 前トップ壮一帆のサヨナラだった前作「一夢庵風流記 前田慶次」新人公演でも、永久輝の本役は早霧。主人公の親友役だった。

 「前回は静かな役で、今回は一座の空気を動かす陽の存在。同じ早霧さんから真逆の男役を学ぶことができます。早霧さんのルパンは、遊び心の中に正義感があって男前で砕けてもいる。二面性は(原作の)ルパン三世そのもの。私にはない引き出しなので、早霧さんから学び、たくさん自分の中に詰め込みたい」

 持ち前の芝居心を存分に発揮し、軽妙で洒脱(しゃだつ)な早霧ルパンが何よりの手本だ。けいこ場にあったルパン三世のDVDを、自宅で鑑賞もした。

 「テンションの高さ、リアクションの大きさを演じる上で、男役の芯がしっかりしていないと、軽く見えてしまう。男役としての早霧さんの姿をしっかり見て、お手本にしたい」

 ルパン三世といえば真っ赤なジャケット、青いシャツ、黄色いネクタイ、細身の黒色パンツが定番。けいこ場から赤いジャケットを着用し、原作から抜け出たような舞台姿を見せるトップから学ぶことは多い。

 「新公主演が決まって、早霧さんに『じゃあ、赤いジャケットを用意して』と言っていただいた」

 実は、赤色は永久輝の「勝負カラー」だそう。

 「赤色は好き。勝負カラーです。試験の日やバレエのオーディションの日、“勝負の日”には赤い物を身につけるようにしていたので、赤で良かったと」

 4歳からバレエを習い、中学3年で級友に、朝海ひかるが出演していた「ベルサイユのばら」DVDを借り、宝塚を知った。

 「しばらくは趣味として(宝塚を)楽しんでいましたが、高校2年のとき、舞台を初めて見て『ここに立ちたい』と思いました」

 黒のえんび服を着て踊る男役の格好良さは「世界でひとつしかない」と心を奪われ、宝塚音楽学校を受験。首席で入学した。

 「自信はなかったですが、絶対に合格する! って気持ちは、誰よりも強かったと思う。あのときの勢い、初心は絶対に忘れちゃいけないと、言い聞かせています。今は男役としてメンズ雑誌や外部の舞台の男優さん、テレビでの役者さんを見て、なぜすてきなのか研究をしています」

 劇団入りする際に決めた芸名は自分で考えた。

 「誕生日が天海祐希さんと一緒で、初めて見た作品は朝海ひかるさんで『海』を使いたかった。うまく合う名前を探し、海を『SEA』に変え『せあ』に。永久輝は、名前に合う響きから画数占いで調べました」

 新人公演初主演は、スターの階段への第1歩。航海は始まったばかりだ。【村上久美子】

 ◆ミュージカル ルパン三世 -王妃の首飾りを追え! 世代を超え、世界的な人気を誇るモンキー・パンチ氏原作の「ルパン三世」を、宝塚歌劇が初めての舞台化。ルパン一行が現代の仏・ベルサイユ宮殿で行われている展覧会で、首飾りを盗もうとした瞬間、革命前夜のフランスへとタイムスリップ。マリー・アントワネットに出会う。

 本公演は早霧、咲妃の新トップコンビ本拠地お披露目となり、宝塚大劇場で2月2日まで。新人公演は主演が永久輝、ヒロインは星南のぞみ。

 ☆永久輝せあ(とわき・せあ)8月8日、東京都生まれ。11年「ノバ・ボサ・ノバ」「めぐり会いは再び」で初舞台。97期生。12年、雪組配属。昨年6月「一夢庵風流記 前田慶次」新人公演で、当時2番手の早霧が演じた奥村助右衛門役に抜てき。同期は留依蒔世、春妃うらら、海乃美月ら。身長170センチ。愛称「ひとこ」。