ドラマ「いちばんすきな花」に毎週ホッとさせられている。多部未華子はじめ、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠と人気者が名を連ね、クアトロ主演という新しいスタイルで男女感の恋愛だけでなく友情も含めた愛の物語を描く。今のところ、松下演じるつばき以外にはそれほど大きな事件は起こらず、今どきの4人が毎日を淡々と過ごす。
テーマは“男女の間に友情は成立するのか?”性別も年齢も境遇も違うが、何となく馬が合う4人が、地味だけど大事にしていることを少しずつ告白していく。第1話では多部演じるゆくえが、幼いころから2人組を作ることが苦手だったと話し、それに同調する3人。ここで、あるあるとうなずいた人はこのドラマのとりこになっていくことだろう。
スタッフは、昨年社会現象とも呼ばれたドラマ「silent」のチーム。プロデューサー自ら、脚本家(生方美久)に対し「彼女にしか描けない、彼女だからこそ描ける“友情”の物語です」とコメントを寄せる意欲作。おのおのの心情を絶妙に表すセリフに丁寧な演出、刺激の強い昨今のドラマに比べると展開含めて薄味に感じるが、しっかりとだしのとれた作品に仕上がっているのではないかと思う。
ひとつ感心したシーンを紹介したい。第2話でゆくえが帰省した際、昔のビデオを見ていた母親とちびっこ相撲の話になる。体格の大きい子と小さい子が戦い、小さい子が勝ったが、負けた子に感情移入したというお話。その話を3人にしている時に、新潟(ゆくえの出身地)からお土産として買ってきた柿の種の缶を土俵に見立て、顔のついたお菓子で相撲を再現していた。
本来、職場用に買ってきたお土産だったが、急に呼び出されたことにより謝罪しなければと勘違いした結果、お土産をたくさん持っていきこのシーンが成立した。見る人によってはどうでも良い気もするが(笑い)、個人的に謝罪のくだりからはじまり、帰省した新潟-柿の種の缶-土俵-相撲とスッと入ってきた。
さて、そこで今回紹介したいのは主演の1人である夜々(よよ)を演じる今田美桜(26)。前クールのドラマ「トリリオンゲーム」ではライバル会社の社長令嬢役で、ド派手な衣装で強気なセリフをバシバシと放っていたが、今作では人との付き合いがどこか苦手な正反対の役を演じる。
第4話で母親(斉藤由貴)にとある決心をした電話を掛けるシーンがあったが、そこがすこぶるいい。こぼれそうな眼を見開きながら、そして時々まばたきしながら、通常よりも低めの声で、行間たっぷりに話すその姿につい引き込まれそうになった。表情含めて感情がうまく乗っていて、ただただうまいなと。今はたくさんいる人気俳優の一人だが、すぐに実力派俳優と言われる日が来るだろう。今後の活躍に期待です。
◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。直近では映画『その恋、自販機で買えますか?』『映画 政見放送』が公開。





