渡哲也(73)が10日、都内で宝酒造「松竹梅」新CM「ともに祝おう」篇(12月25日からオンエア)の撮影を行った。急性心筋梗塞で6月10日に緊急入院した渡にとって、昨年8月12日に都内で行われた同社のCM撮影以来、1年3カ月ぶりの仕事復帰となった。リハビリ中の渡は、全員集結した石原軍団の前で自ら立ち上がり、力強く早期回復を誓った。

 渡が現場に帰ってきた。午前11時20分に登場すると、紋付きはかま姿の舘ひろし(65)に「ひろしが着ると似合うな」と明るく声をかけ、周囲を和ませた。撮影は午後1時から約1時間にわたり、1カット4テークの撮影を4カット行い、NGなしで1発OK。撮影を終え「正直、ホッとしました」と安堵(あんど)した。

 撮影後は体調を考慮し、車の中から取材に応じる運びだったが、渡は「車の中でやるのは失礼。俺はイスに座ってやる」と自ら希望し会見を設定。「現場があると、ぶざまな格好は見せられない。つい頑張ってしまいます。ぜひやっていただきたいという宝酒造さんのお言葉が力になり励みになりました」と語り、昭和を駆け抜けた、トップスターの誇りをのぞかせていた。

 体形は、昨年のCM撮影時から若干ほっそりした。この日は、声はかすれ、口をすぼめるように、呼吸した。渡は「心筋梗塞は良くなったんですが、呼吸器疾患の方がありまして。血中酸素が足りなくなり、動いたり長いセリフを言うと息切れする。とにかく動くことが非常に苦痛」と明かした。現在は月2回の通院と、自宅で週3回リハビリを続けている。

 この日は舘、神田正輝(64)を筆頭に石原軍団7俳優が集結した。石原裕次郎さんが1970年(昭45)から出演し、裕次郎さんが亡くなった翌年の88年から渡が引き継いだ「松竹梅」のCMに、石原軍団が総出演するのは初めて。撮影中、舘がCMソングにちなみ「渡の復帰を祝して…松竹梅」と音頭を取って、全員で復帰を喜び合った。

 最後にカメラマンから立っての撮影をリクエストされると、渡は心配する関係者を制し「大丈夫だよ!!」と言い、力強く立ち上がった。「何とか早く元気になって、また再び、皆さんとお会いできる日が来ることを願っております」とファンに心からのメッセージを送った。【村上幸将】

 ◆石原プロモーションと宝酒造 両社の関係は67年から始まり、70年から裕次郎さん出演の「松竹梅」のCMが始まった。74年7月にはまき子夫人との初の夫婦共演CMがオンエア。裕次郎さんは87年7月17日に亡くなるまで毎年、撮影を行った。同年10月19日に2代目社長に就任した渡が88年からCMに出演。昨年は前田敦子と共演した「-『天』」のCMがオンエア。12月16日に出演CM約130本を収録したDVD「生誕80周年記念 石原裕次郎 松竹梅CM集」が発売。