ハロー!プロジェクトの5人組グループ℃-uteの岡井千聖(21)が、トークのできるアイドルとして、バラエティー番組で活躍している。目指すは「ポスト矢口真里」。両親のとんでもない浪費エピソードをきっかけに、親しみのある飾らないトークがウケて、昨年から出演番組が増加した。ハロプロの新「バラエティー担当」が、2016年の飛躍を誓った。

 背格好や髪形、髪の色、ざっくばらんで親しみやすい性格。岡井はどことなく、ハロプロの先輩、矢口を連想させる。実際、タクシーに乗っていると運転手からよく矢口と間違われるという。だが、仕事の面では「私とはかけ離れた」目標の存在だという。

 岡井 見習うことは本当に多いです。矢口さんは出る番組の時間帯によって、話す内容とか、しゃべり方も自然と変えているし、スタッフさんからも、とても頭がいいといわれています。

 矢口はかつて、テレビ番組でVTRが流れている最中、「ワイプ」で見せる多彩な表情で存在感を発揮し、「ワイプの女王」と呼ばれた。

 岡井 矢口さんの出演した番組の動画を何度も見返して、ワイプでどういう表情だったら使われるのかとか、研究しています。いつか「ミニ矢口」って呼んでもらいたいです。

 フジテレビ系の準レギュラー番組「アフロの変」をはじめ、テレビ朝日系「『ぷっ』すま」、テレビ東京系「ゴッドタン」に出演するたびに爪痕を残し、オファーが止まらないという。ブレークのきっかけは、両親の浪費エピソードだった。

 岡井 父親は毎日遊んだり、飲んだり。母親はスマートフォンのゲームでウン十万も課金しちゃったり。親が水道屋さんなのに、料金未納で家の水道が止められたこともあります。去年の9月に私の貯金が使い込まれていたことが分かったので、お金を返すところに返済して、今年からはしっかり私が全部管理しようと思っています。アハハ。

 一見シリアスなエピソードも、鼻にかかった独特の声で、明るい笑い話に変えてしまう無類の愛嬌(あいきょう)が魅力だ。

 岡井 芸能人でも、いろんな境遇の人がいるんだなと知ってもらって、話を聞いたみなさんに笑顔に、ポジティブになってもらいたいですね。

 昨年6月、結成10周年を迎えた℃-uteは、アイドル界ではAKB48の先輩に当たる。長年培ってきたパフォーマンス力が誇りだ。アイドル戦国時代といわれる中でも、コンサートの盛り上がりは随一といっていい。岡井は「まだまだ新しいことを求めています。これからも℃-uteは続いていきますよ。私も5人きょうだいの長女なので、家族のために働き続けなきゃいけませんから。アハハ」。屈託のない笑顔で、2016年もお茶の間を魅了する。【構成・横山慧】

 ◆岡井千聖(おかい・ちさと)1994年(平6)6月21日、埼玉県生まれ。愛称「岡井ちゃん」「ちっさー」。02年6月、ハロプロオーディションに合格。05年6月に結成された℃-uteに加入。ロックが好きで、尊敬するミュージシャンは氷室京介。マイブームは豆モヤシと鶏白湯ラーメン。152センチ。A型。

 ◆℃-ute(キュート) 02年にハロプロキッズに合格した15人のうち、04年結成のBerryz工房に加入しなかったメンバー7人で、05年6月に結成。07年シングル「桜チラリ」でメジャーデビューし、同年レコード大賞最優秀新人賞。NHK紅白歌合戦にも初出場。メンバーの加入、脱退を経て現在は矢島舞美(23)中島早貴(21)鈴木愛理(21)萩原舞(19)岡井の5人組。