NHK「あさが来た」の五代友厚役でブレークした俳優、ディーン・フジオカ(35)が13日、NHK大阪放送局で、今年度内放送予定の主演ドラマ「喧騒の街、静かな海」(73分枠=全国放送)取材会に出席。約4カ月ぶりに、同放送局へ姿を見せた。

 「帰ってきました」

 全国のファンを魅了した五代様スマイルであいさつ。今月上旬から大阪市内などで、同ドラマのロケを始めており、ディーンは「大阪は大好きなんで、戻ってこられてうれしい。大阪のファンは気持ちをまっすぐにぶつけてくれるので、そういう方が僕は好き。大阪に感謝ですね」と話した。

 今ドラマの谷口卓敬(やぐち・たかゆき)担当プロデューサーによると、ロケ場所は慎重に選んでいるが、それでもロケ先にファン50人ほどが集まったことがあった。女性が多く、年齢層はまちまちだったが、サービス精神旺盛なディーンは、ファンを見つけると、ほほ笑みながら手を振ってこたえた。

 このため、ファンは大喜び。一時は騒然となり、スタッフも心配したが、収録を始める際には、ディーン本人がファンに向かい「本番中はお静かにお願いいたします」。すると、一気に静寂を取り戻した。気さくなディーンの素顔には、距離感が近く、遠慮を知らない大阪のオバチャンたちも、静まり返ったという。

 海外で俳優活動を続けてきたディーンにとって、ストレートに感情表現をする大阪の土壌は合うようで「ロケ先の歴史を勉強して、知ることで、どんどん大阪が好きになっていく」と話す。実際、そのロケ先にどういった歴史、特徴があるか、積極的に情報収集しながら、収録に臨んでいる。

 今ドラマでは、風景写真を撮影するカメラマンを演じ、顔も知らずに別れた父を探し、素性を隠したまま近づき、父子としての絆を確かめる展開。国内初主演ドラマとなる。父役は寺尾聰(68)。寺尾ふんする父は、闇を抱えた少女たちの力になろうし“地回り先生”と呼ばれている精神科医という設定だ。

 寺尾は、初共演のディーンに「僕も朝ドラをファンの1人として見ていて、線が細いイメージだったけど、実際に会うと骨太。10代、20代で出てくる役者は多いけど、30代になってグーンと出てくる役者は珍しい。ただ、僕も34歳で『ルビーの指輪』がヒットして、俳優の仕事も増えていった。朝ドラの五代様が、あと20年したら、どんな役者になっているか楽しみ」と話した。

 寺尾は自分自身、30代半ばまで、苦しい時代を過ごしてきた経験があるだけに、ディーンには共感する気持ちも強い。ディーンも寺尾と同じく音楽活動もしており、5月8日には大阪で初の単独ライブを予定。寺尾はその点についても「音楽のできる俳優っていうのは、画面からもお芝居だけじゃない波動みたいな物が伝わってくる」とシンパシーを感じてもいる。

 そのディーンには「日本でいろんなアドバイスがあって、でも全部を飲み込まなくていい。自分が必要なものだけを取り入れたらいい」とアドバイスしたと言い、これにはディーンも「まさしくその通りだと思います」。役柄の父子さながらに、絆は日々、深まっているようだ。