41歳の若さで脳出血に倒れた落語家林家かん平(66)の奮闘を追ったドキュメンタリー映画が完成した。「涙の数だけ笑おうよ」(9月3日公開)で、海老名香葉子さんや撮影後亡くなった江戸家猫八さんらが友情出演。津川雅彦(76)がナレーションを務める。

 かん平は90年、師匠の初代三平の追善興行打ち上げでビールをあおった直後に卒倒。1年後に復帰したが右手右足に障害が残り、まくし立てるような話術は間合いで笑わせる味のある語りに変化した。

 半身不随となって25年。老いも加わり得意としていた長尺の古典落語も体力的に難しくなってきた。後援会の仲間からは愛情ゆえの手厳しい言葉が飛び、新作落語への挑戦を決意する。映画はネタおろしで客席から喝采を浴びるまでの1年間を追う。

 支えは12年NHKテレビ小説で堀北真希(27)が演じた「梅ちゃん先生」のセリフだ。かん平は「『頑張っていれば、きっと神様がご褒美をくれる』。心が折れそうになるといつも思い浮かべました」という。

 医師や看護師とのやりとりをネタにし、不自由な体で92歳の母せつ子さんの介護にも向き合うが、とにかく明るい。荻野和仁プロデューサー(65)は「奮闘ぶりはきっと見る人に勇気を与えるはず」と話す。