東京・港区の芝公園で16日夜、無料の野外上映イベント「東京国際映画祭 TOWER LIGHT CINEMA~映画の話をしに来ませんか~」が開催された。第29回東京国際映画祭(25日開幕)の一環として行われたもので、開始30分前の午後5時には、芝公園の芝生を埋め尽くすほどの観客が集まった。ライトアップされた東京タワーの下に集った映画ファンたちは、名札に好きな映画3本を書き込み

 (1)泣ける映画

 (2)今年のベスト映画

 (3)好きな監督

 (4)ジブリアニメ

 (5)冬が楽しくなる映画

の5テーマごとに集まって映画を鑑賞した。

 この日は、フランスの監督ミシェル・ゴンドリーの「僕らのミライへ逆回転」(08年、米国)が上映された。立ち退き要求を受けた、古びたレンタルビデオ店の全ソフトの映像が磁気の影響で飛んでしまい、店員は常連客から「ゴーストバスターズ」のリクエストを受け、自分たちで勝手にリメーク版を撮影してしまう。それが面白いと評判を呼び、店員たちは客からリクエストされて「ロボコップ」「ドライビング・Missデイジー」など、ハリウッドの人気作のリメーク版をどんどん撮影。店には客の長蛇の列ができ、立ち退き問題に光明が差したように見える中、さらなる大きな問題が生じる物語だ。

 映画が始まった当初、小声で会話をしていた映画ファンたちも、時間が経過するにつれて映画にどんどん引き込まれていき会話がなくなっていった。映画史に残るハリウッドの人気作の名前が次々、登場する上、素人ながらリメーク作りに必死に取り組むビデオ店の店員らの姿に、映画愛を刺激されたようだ。気温が下がり、やや肌寒い中、友達やカップルで来た映画ファンは肩を寄せ合う姿も見られた。映画を上映するシーンでは、自分もスクリーンの中の1人であるかのように、身を乗り出して見ている観客もいた。

 友達連れやカップルはもちろん“おひとりさま”の男女から家族連れまで、幅広い層の観客700人が最終的に集まり、上映終了時には拍手が巻き起こった。企画、プロデュースしたキノ・イグルーの有坂塁氏は「こういう(野外映画祭などで)コミュニケーションできるところで映画を考えたり、映画館に行くと、映画スイッチが入ったり、見たくなったりするのが映画の特徴かな、と思います。この映画は、映画を通して人がつながっていくということを、まさかの驚きの展開で、あんなにいい話として描いている。ゴンドリーは本当に映画を愛している人なので、彼の思い、優しさが表れた映画だと思います」などと語った。